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文献詳細

雑誌文献

臨床検査61巻11号

2017年11月発行

文献概要

検査レポート作成指南・22

検体検査編「NSTレポート」

著者: 園田優衣1 大林光念1

所属機関: 1熊本大学大学院生命科学研究部構造機能解析学分野

ページ範囲:P.1428 - P.1435

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 栄養サポートチーム(nutrition support team:NST)活動は,さまざまな診療科の医師,歯科医師,薬剤師,看護師,臨床検査技師,診療放射線技師,理学療法士,栄養士,介護福祉士,医療ソーシャルワーカー,そして,各種事務職員などが連携・協力し,一体となって行う院内横断的な医療提供体制の1つである.それぞれの職種がもつ専門的知識や技術を集約し,より効率的な栄養サポート体制を確立することによって,患者の早期退院,早期社会復帰への手助けをする本活動のなかで,臨床検査技師の果たすべき役割は主として以下のようなものである.

(1)栄養障害度の判定に必要な各種臨床検査データの提供.

(2)合併症の有無,重症度を評価するための各種臨床検査データの提供.

(3)治療効果を評価するための各種臨床検査データの提供.

(4)患者およびその家族へ,さらには他職種のNSTメンバーへの臨床検査データに関する適切な説明.

(5)各部門とのコミュニケーションを図り,各職種が臨床検査データに精通するための環境整備,および教育.

 特に,各施設が在院日数の短縮を迫られ,短期型のNSTが重視される昨今の医療事情を考えると,血液生化学的栄養指標のみならず,感染情報や各種生理学的指標をも提供しうる臨床検査室,臨床検査技師が今後NST活動の主体となることは,極めて自然で,かつ必要なことと言える1)

 本稿では,熊本大学医学部附属病院NSTが回診時に用いている実際のレポートを示し,当院の臨床検査技師がいかなる形で上記(1)〜(5)の役割を果たしているか解説していく.

参考文献

1)大林光念,安東由喜雄:医療従事職種を知る 医師.臨病理レビュー 144:9-11,2009
2)大林光念,柳澤由佳子,伊崎彩音,他:栄養サポートに役立つ血漿蛋白.臨検 60:386-392,2016
3)立石多喜子,中村政明,植田光晴,他:栄養サポートチーム(NST)における栄養アセスメント蛋白と炎症マーカーの活用法の実際.臨病理 53:825-831,2005
4)Ingenbleek Y, Young V:Transthyretin (prealbumin) in health and disease: nutritional implications. Annu Rev Nutr 14:495-533,1994
5)Obayashi K, Ueda M, Yamashita T, et al:Gastric myoelectrical activities in elderly severe tetanus: useful marker to increase volume and calorie of nasogastric tube feeding. e-SPEN 5:261-264,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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