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文献詳細

雑誌文献

臨床検査61巻12号

2017年12月発行

文献概要

今月の特集2 新鮮血を用いた血算の外部精度管理

神奈川県における新鮮血試料を用いた血算の外部精度評価

著者: 渡邉眞一郎1 鈴木正昭2

所属機関: 1藤沢市民病院臨床検査科 2藤沢市民病院臨床検査室(現,PCL品川 病理・細胞診センター)

ページ範囲:P.1502 - P.1509

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Point

●全血球計数〔全血算(CBC)〕の外部精度評価(EQA)に加工血試料を用いると,マトリックス効果によって機種間差が顕著に表れる項目〔白血球数(WBC),平均赤血球容積(MCV),血小板数(PLT)など〕がある.この場合,同一メーカーの機器でも測定原理が異なると測定値の乖離がみられる.

●新鮮血試料は,マトリックス効果の影響を受けないためWBC,MCVは良好な成績が得られるが,PLTは臨床的許容限界を超える差が認められ,なお改善の余地がある.

●新鮮血試料は大量に作製することが困難かつ劣化が早いので,大規模精度管理調査には向かないが,自治体規模の調査には適しており,機種間差の実態が調査可能である.

●新鮮血試料は作製法によって保存安定性が異なるので,調査結果の解析・評価法を含め新鮮血EQA実施法の標準化が望まれる.

参考文献

1)神奈川県衛生部:平成12年度精度管理調査研修会資料,2001
2)神奈川県衛生部:平成13年度精度管理調査研修会資料,2002
3)近藤弘,杉山昌晃,白上篤,他:新鮮血を用いた血液学検査の外部精度管理.臨検 58:621-626,2014
4)福田幸広,澤田朝寛,大山正之,他:血算サーベイ試料作製における最適条件の検討.日検血会誌 17:16-24,2016
5)浅沼眞佐英,千葉拓也,栗原正博:全血を用いた外部精度管理における試料調整方法の違いが赤血球容積に与える影響.日検血会誌 18:249-257,2017
6)近藤弘,秋山利行,白神篤,他:新鮮血を用いた外部精度管理のための試料作製法.生物試料分析 25:275-278,2002
7)神奈川県衛生部:平成14年度精度管理調査研修会資料,2003
8)渡辺清明,巽典之,三輪史朗:血球計測値の臨床的許容限界—JCCLSからの提唱.臨病理 42:764-766,1994
9)田窪孝行,佐藤尚武,藤本敬二,他:6社の基準自動血球分析装置による血球計数(網赤血球数を含む)と白血球分類の評価.日検血会誌 4:117-126,2003
10)田窪孝行,近藤弘,佐藤尚武,他:6社の基準自動血球分析装置による血球計数(網赤血球数を含む)と白血球分類の2007年度外部精度評価.日検血会誌 14:282-289,2013
11)近藤弘:自動血球計数機の測定値には機種間差があると聞きましたが,その実態を教えてください.臨検 60:680-683,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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