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文献詳細

雑誌文献

臨床検査61巻2号

2017年02月発行

文献概要

心臓物語・11

神経原説と筋原説

著者: 島田達生12

所属機関: 1大分大学 2大分医学技術専門学校

ページ範囲:P.108 - P.108

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 1628年にウイリアム・ハーヴェイ(イギリス)が唱えた血液循環説は,ヒトを含む種々の動物実験で実証された.その結果,全身の血液を迎える心房の存在が明らかになり,哺乳動物の心臓は二心房二心室からなることが判明した.心房と心室にはそれぞれ収縮・弛緩機能をもつ心房筋と心室筋がある.両者を結ぶ筋束はなく,切り離すことができる.心房筋と心室筋は組織学的に骨格筋と類似する筋原線維を有する横紋筋に属し,不随意筋である.

 静脈洞,心房,心室が順序よく,かつ規則正しく拍動するのは,心臓内の神経細胞が原動力となるのだと考え,神経原説が生まれた.1893年にヒスはカエルの心臓において,心房と心室を連結する筋束を見いだした([1]).筆者もこの事実を確かめた.カエルの心臓は二心房一心室で,心房と心室の境界に輪状筋があり,どこを切断しても房室連結筋束が存在した.また,1900年前後,一部の生理学者は心臓内の神経細胞や神経線維を取り除いても心臓は拍動を続けていたことから,拍動は心臓内の筋自身によるという“筋原説”を考えた.しかし,実験動物が両生類であったことと,哺乳動物の心臓では房室連結筋束は存在しなかったことから筋原説は消え,1906年まで神経原説が定説として約280年間続いた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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