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増刊号 臨床検査スターターズガイド 1章 スターターズ必修! 検査業務の基礎知識
自家製溶液の調整法と代表的な緩衝液
著者: 久米幸夫1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部血栓・止血検査室
ページ範囲:P.354 - P.355
文献購入ページに移動緩衝液の緩衝材を選択する方法には,弱酸とその塩(共役塩基)の組み合わせと,弱酸と強塩基の部分中和を利用した組み合わせの2つの方法があります.緩衝液が機能するためには,弱酸の解離平衡現象が必須です.平衡が偏った条件では緩衝剤として機能しませんが,弱酸のpKa(酸解離定数の−log値)±1程度のpHでは緩衝剤は有効に機能します.したがって,目的のpHから適当なpKaをもつ緩衝剤を選択することが重要となります.一般的には酸は“H+”を,アルカリは“OH−”を放出するものとして考えられていますが,pKaはBrønsted-Lowry acid-base theoryに基づき,“H+”が離れるのか,戻るのかという観点から酸とアルカリを考えたものです.
また,pKa=−logKaという関係性が成り立ち,このKaも酸の解離定数(“H+”の電離度合い)として,値が大きいほど強い酸となります.酢酸を例にとると,Ka=1.74×10−5はpKa=4.76となります.
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