文献詳細
文献概要
心臓物語・15【最終回】
心臓リンパ—上水道と下水道
著者: 島田達生12
所属機関: 1大分大学 2大分医学技術専門学校
ページ範囲:P.876 - P.876
文献購入ページに移動休みなく動き続けている心臓に,大量の間質液(組織液)がある.毛細リンパ管に吸収された間質液(心臓リンパ)はイヌでの実験によると1日で約76mL,大量である.古典的な墨汁注入法を心臓に活用すると,注入された墨汁はすぐに毛細リンパ管に吸収される([3]).上述した種々の方法によって,心臓内のリンパ管の分布や心臓内のリンパの流れを知ることができる.心内膜下に注入された墨汁は心内膜の毛細リンパ管(En)に取り込まれ,心筋層(M)から心外膜(Ep)へ流れ,心臓リンパ管(LT)を経て([1],[2]),気管・気管支リンパ節に終わる.心臓のリンパ系は心房よりも心室において発達しており,心外膜側の毛細リンパ管網が最も密である([4]).リンパ管は作業心筋以外の領域,刺激伝導系の洞房結節,房室結節([2]),房室束,脚,Purkinje線維にも分布している.さらに,三尖弁と僧帽弁([2])にもあるが,大動脈弁や肺動脈弁にはない.
掲載誌情報