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文献詳細

雑誌文献

臨床検査61巻9号

2017年09月発行

文献概要

検査説明Q&A・30

喀痰の検体としての評価はどのようにしたらよいのですか?

著者: 荘司路1

所属機関: 1国立がん研究センター中央病院臨床検査科微生物検査室

ページ範囲:P.1082 - P.1084

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■はじめに

 喀痰の微生物検査は,下気道感染(肺炎や気管支炎など)の起炎菌を検出する目的で実施される.そのため,“下気道”の分泌物を適切に採取することが必要である.一般に,喀痰は“喀出”して採取するので,唾液や鼻汁などの混入が避けられない.良質な喀痰からの検出菌は起炎菌として意義が高く,適切な抗菌薬治療につながる.一方,唾液や鼻汁が多く混入している喀痰からの検出菌においては,起炎菌としての意義が不明確であるため,適切な抗菌薬治療につなげることが困難である.喀痰の品質評価は,検体採取時に始まり,肉眼的評価,顕微鏡学的評価など総合的に評価することが重要である.不適切な検体からの検査結果報告は,感染症診断を誤らせる原因にもなりかねない.ここでは,喀痰の品質評価方法について解説する.

参考文献

1)Miller DL:A study of technique for the examination of sputum in a field survey of chronic Bronchitis. Am Rev Respir Dis 88:473-483,1963
2)Geckler RW, Gremillion DH, McAllister CK, et al:Microscopic and bacteriological comparison of paired sputa and transtracheal aspirates. J Clin Microbiol 6:396-399,1977
3)原祐樹,浅井幸江,川島誠,他:市中病院の肺炎患者に関する微生物学的背景の調査.医学検査 63:629-634,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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