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文献概要
今月の特集1 海外帰りでも慌てない旅行者感染症
旅行者下痢症
著者: 山本修平1 倉井華子1
所属機関: 1静岡県立静岡がんセンター感染症内科
ページ範囲:P.1576 - P.1581
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●旅行者下痢症は,短期間で自然軽快する症例から慢性化・重症化する症例までさまざまである.
●下痢は消化管以外の疾患や非感染症が原因となることもあるため,丁寧な病歴聴取に基づいて鑑別していく.特にマラリアや敗血症の症状の1つとして下痢を認めることもあり,注意が必要である.
●旅行者下痢症では,国内発症の下痢症よりも細菌が原因となることが多い.症状が強い場合は抗菌薬が適応となるが,近年耐性菌が増加しており,治療戦略が難しくなっている.
●軽症例では検査を必要としない場合も多いが,慢性例や重症例では,便の細菌や寄生虫,マラリア,デング熱,腸チフス,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの検査も検討する.
●旅行者下痢症は,短期間で自然軽快する症例から慢性化・重症化する症例までさまざまである.
●下痢は消化管以外の疾患や非感染症が原因となることもあるため,丁寧な病歴聴取に基づいて鑑別していく.特にマラリアや敗血症の症状の1つとして下痢を認めることもあり,注意が必要である.
●旅行者下痢症では,国内発症の下痢症よりも細菌が原因となることが多い.症状が強い場合は抗菌薬が適応となるが,近年耐性菌が増加しており,治療戦略が難しくなっている.
●軽症例では検査を必要としない場合も多いが,慢性例や重症例では,便の細菌や寄生虫,マラリア,デング熱,腸チフス,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの検査も検討する.
参考文献
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13)井関基弘:原虫検査法.寄生虫学テキスト(上村清,他著),文光堂,pp212-220,2008
14)金沢大学医薬保健研究域医学系寄生虫感染症制御学教室:寄生虫検査(http://parasitology.jp/index.html)(最終アクセス:2018年7月27日)
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