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文献詳細

雑誌文献

臨床検査62巻4号

2018年04月発行

文献概要

増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック Ⅴ 腎疾患 疾患の解説

IgA腎症

著者: 髙村武之1 北村健一郎1

所属機関: 1山梨大学医学部内科学講座第3教室

ページ範囲:P.474 - P.475

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病態

 IgA(immunoglobulin A)腎症は本邦における原発性糸球体腎炎の中で最も高頻度にみられる腎炎であり,末期腎不全に陥る代表的な疾患の1つである.わが国で行われる腎生検の約1/3がIgA腎症と診断されており,発症率は10万人当たり約4人,有病患者数は3万3,000人程度と考えられている1).発症に男女差はなく,腎生検時の年齢は10〜20歳と35〜45歳で二峰性のピークを認める.IgA腎症発見の理由として,約70%が学校や職場での尿所見異常によるものであり,感冒後の肉眼的血尿も11%みられる.

 IgA腎症は,何らかの原因で糖鎖不全IgA1が糸球体のメサンギウム領域に沈着し腎障害を惹起すると考えられているが,病因はいまだ明らかにされていない.大部分は孤発性だが,家族性発症もあることや明らかな人種差があることから,遺伝的素因があると考えられている.加えて,上気道感染時に悪化する例を認めることなどから,粘膜免疫の病態への関与が想定されてきている2).一方で,長期腎予後は必ずしもよくなく,初診時・腎生検時の尿蛋白量や腎機能障害度によっては高率に末期腎不全へ至ることが知られている.

参考文献

1)厚生労働科研「進行性腎障害に関する調査研究」エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン作成分科会:エビデンスに基づくIgA腎症診療ガイドライン2014.日腎会誌 57:5-137,2015
2)鈴木祐介:粘膜免疫異常とIgA腎症.日腎会誌 58:648-655,2016
3)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業進行性腎障害に関する調査研究班報告IgA腎症分科会:IgA腎症診療指針 第3版.日腎会誌 53:123-135,2011
4)橋口明典:組織学的予後分類 日本分類とオックスフォード分類の比較.腎と透析 82:549-553,2017
5)川村哲也:腎と透析 診療指針2016 IgA腎症の治療(成人).腎と透析 80増刊:240-244,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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