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増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック Ⅵ 泌尿器疾患 疾患と尿沈渣成分 ③その他
多発性囊胞腎
著者: 堀江重郎1 河野春奈1
所属機関: 1順天堂大学医学部大学院医学研究科泌尿器外科学
ページ範囲:P.530 - P.532
文献購入ページに移動多発性囊胞腎は,正式には常染色体優性多発性囊胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease:ADPKD)というが,多発性囊胞腎,もしくはPKDと呼ばれることが多い.その名が示す通り,優性遺伝形式をとる遺伝病であり,遺伝性の腎疾患のなかでは最も頻度が高い.多発性囊胞腎では,両方の腎臓に多数の囊胞が生じ,その囊胞の数や大きさが年齢とともに増加していく.増加,増大した囊胞のために腎臓の働きが悪くなり,腎機能は低下していく.病状には個人差があり,多発性囊胞腎患者の約半数が,70歳までに人工透析や腎移植を必要とする末期腎不全に至る.30〜40代以降に,検診の超音波検査で偶発的にみつかったり,高血圧や血尿の精査でみつかることが多い.
多発性囊胞腎の原因となる遺伝子はPKD1とPKD2遺伝子であり,患者はこの遺伝子のどこかに変異という遺伝子の傷をもっている.遺伝子は50%の確率で子に遺伝するので,両親のいずれかが多発性囊胞腎の場合,その子どもは50%の確率で多発性囊胞腎となる.
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