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文献詳細

雑誌文献

臨床検査62巻4号

2018年04月発行

文献概要

増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック Ⅵ 泌尿器疾患 疾患と尿沈渣成分 ③その他

膀胱損傷

著者: 福原秀雄1 井上啓史1

所属機関: 1高知大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.536 - P.537

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病態

 膀胱損傷は原因により自然破裂と外傷性破裂に大別される.自然破裂の発生はまれであり,外傷性破裂で発生する場合が多い1).自然破裂が発生する場合は,尿路感染,膀胱腫瘍,膀胱憩室,放射線治療後,長期カテーテル留置,薬剤などによる膀胱壁自体の障害や尿流障害が原因として考えられている.そのほか,限局する硬結,膀胱壁の過伸展,膀胱内圧上昇による膀胱壁の部分的な血流障害により穿孔が誘発されると考えられている.

 外傷性破裂の原因としては,鈍的損傷・鋭的損傷・医原性損傷がある.鈍的損傷は骨盤骨折に伴う場合が多く,70〜95%で骨盤骨折の合併を認める.医原性損傷としては,骨盤内の婦人科領域や泌尿器科領域の開腹手術・腹腔鏡手術に伴う術中損傷がある.婦人科関連手術が52%,泌尿器科関連手術が39%,一般外科手術関連が9%とされている2)

参考文献

1)小出紀正,久納孝夫,尾上重巳,他:ドレナージ治療のみで治癒した膀胱自然破裂の1例.日臨外会誌 72:1283-1286,2011
2)山村英治,松田潔,望月徹,他:手術が必要となった腹膜外膀胱破裂の1例.日外傷会誌 29:368-371,2015
3)宮内孝治:尿道・膀胱損傷への対応.泌外 21:139-145,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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