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増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック Ⅶ 全身性疾患
ファブリー病
著者: 唐澤一徳1 横山貴1 新田孝作1
所属機関: 1東京女子医科大学第四内科・中央検査部検体検査室
ページ範囲:P.554 - P.555
文献購入ページに移動ファブリー病は,ガラクトースとのグリコシド結合を加水分解するα-ガラクトシダーゼの欠損あるいは活性低下により,グロボトリアオシルセラミド(globotriaosylceramide:GL-3)などの非還元末端にガラクトースを結合する糖脂質が,血管内皮や心筋などの様々な細胞に蓄積し,全身の各種臓器障害をきたすX染色体連鎖性の遺伝性疾患である1).従来は,ヘミ接合体の男性にのみ発症すると考えられていたが,ヘテロ接合体の女性においても,男性に比べて軽症ながらも各種症状が出現することがわかっている.本邦の調査では,新生児21,170人中3人(0.014%)がファブリー病と診断されている.また,透析患者では,0.02〜0.2%という頻度が報告されている.
典型例では,20歳代前半から末梢神経障害に伴う周期的な上下肢痛や知覚異常および発汗低下などが出現し,50歳半ばころから角化血管腫や点状皮疹を認めるようになる.しかし,このような典型的症状を自覚しないまま,成人に至ってから蛋白尿あるいは心肥大などにより,初めて本症の可能性を指摘される症例も少なくない.
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