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文献詳細

雑誌文献

臨床検査62巻4号

2018年04月発行

文献概要

増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック Ⅷ 術後・処置後

眼底検査後

著者: 川本進也1 小関紀之2

所属機関: 1獨協医科大学埼玉医療センター腎臓内科 2獨協医科大学埼玉医療センター臨床検査部

ページ範囲:P.568 - P.569

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病態

 眼底検査(蛍光眼底造影検査)に用いられる造影剤(色素)にはフルオレセインとインドシアニングリーンの2つがあり,特殊なフィルターを通した光を当てると蛍光を発する性質を用いて眼底カメラで連続して撮影する.青色光または赤外光フィルターを通して眼底を照明し,造影剤(色素)から発した蛍光だけを撮影し,血管内の血液の流れの状態や,通常の眼底検査では発見が困難な病変を詳しく調べることができるため,糖尿病性網膜症や網膜静脈閉塞症,加齢黄斑変性などの診断には欠かせない,眼科で頻用されている検査である.血管内に投与されたフルオレセインは急速に全身の血管および血管外腔に拡散し,粘膜と皮膚は1分以内に染色され,皮膚は黄緑蛍光色に染色される.これは網膜と中枢神経系の血管を除いてすべての血管から色素が漏れ出るためである.投与された色素は血管内で急速に希釈され,2〜3回目の再循環でほとんど認められない濃度になる.

 フルオレセインは肝で代謝され,大部分は尿中から排泄される.フルオレセインは腎に対して薬理作用を有さないため,腎障害では禁忌ではなく,肝障害では控えるとされている.通常尿に流れてこない物質であるフルオレセインが大量に流れてきた場合は尿細管上皮細胞が再吸収を行い,閾値を超えてしまうほど再吸収を行った場合は,破綻して尿細管基底膜から剝離し尿中に漏れてしまう.

参考文献

1)冨田順恵,野崎司,浅井さとみ,他:初歩から学ぶ実践シリーズ 尿沈渣像—この成分をどう読むか.Med Technol 41:1192-1195,2013
2)木村さゆり:蛍光眼底撮影後に尿中に出現した尿細管上皮細胞.Med Technol 別冊尿沈渣検査症例アトラス:98-99,2000
3)木村さゆり,小平まさみ,原美奈子,他:蛍光眼底撮影検査後の尿中に出現する尿細管上皮細胞及び硝子円柱の検索.医学検査 46:55-59,1997
4)Kamoda Y, Babazono T, Haruyama K, et al:Renal function following fluorescein angiography in diabetic patients with chronic kidney disease. Diabetes Care 32:e31,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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