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文献詳細

雑誌文献

臨床検査62巻9号

2018年09月発行

文献概要

今月の特集1 DIC診断基準

小児科領域のDICの取り扱い—小児のDIC診断基準

著者: 長江千愛1 瀧正志2

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学小児科 2聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院小児科

ページ範囲:P.1026 - P.1030

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Point

●新生児の凝固・線溶活性は成人と大きく異なり,プロトロンビン時間(PT)などの検査の基準値が在胎週数や日齢によって異なるため,検査値の解釈には注意を要する.

●小児では医原性貧血のリスクを減らすために,採血量を最小限にする工夫が必要である.

●採血が困難な場合には,トロンビン・アンチトロンビン複合体(TAT)や可溶性フィブリン(SF)などの凝固活性化関連マーカーは試験管内凝固により偽高値となる.

●播種性血管内凝固(DIC)の診断は,新生児を除く小児科患者では日本血栓止血学会のDIC診断基準2017年版を,新生児領域では日本産婦人科・新生児血液学会の新生児DIC診断基準・治療指針2016年版を用いることが望ましい.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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