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文献詳細

雑誌文献

臨床検査63巻11号

2019年11月発行

文献概要

今月の特集1 腎臓を測る

腎機能悪化と関連付ける検査値の読み方

著者: 木村秀樹1

所属機関: 1福井大学医学部附属病院検査部・腎臓内科

ページ範囲:P.1302 - P.1306

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Point

●血清クレアチニン(Cr)値の48時間,7日間での増加は急性腎障害(AKI)の診断に,推算糸球体濾過量(eGFR)の3カ月以上にわたる評価は慢性腎臓病(CKD)の診断に重要である.尿細管障害の診断には,尿中の古典的マーカーと新規マーカーを適宜使い分けることが有益である.

●高カリウム(K)血症はG4期以降に出現することが多いが,G3期までに認める場合は尿細管障害が主体のⅣ型の尿細管性アシドーシス(RTA)も考慮する.

●リン(P),カルシウム(Ca)代謝では,1, 25(OH)2ビタミンDの低下と二次性副甲状腺機能亢進症(2nd HPT)がG3a期に発症し,G3b期に血清P値の上昇が,G4期に血清Ca値の低下が認められる.

●G3期に認められる代謝性アシドーシスはアニオンギャップ(AG)正常型のRTAが主体である.G4期以降ではAG増加型の尿毒症性アシドーシスが主体であるが,両方の合併も多い.

●エリスロポエチン(Epo)の相対的低下による腎性貧血はG3b〜G4期以降に発症することが多く,G5期では85%に合併する.正球性正色素性貧血であり,消化管出血などの鉄欠乏性貧血を除外する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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