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今月の特集1 腎臓を測る
尿沈渣所見はどこまで報告するか
著者: 油野友二1 佐藤妃映1
所属機関: 1北陸大学医療保健学部医療技術学科
ページ範囲:P.1315 - P.1323
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●尿沈渣検査は尿中の有形成分である上皮細胞類,血球類,円柱類などについておのおの正確に分類と概数計測をすることで,尿定性所見と組み合わせて尿異常を示す病態の推定情報となる.
●血尿は尿に赤血球が混入した状態であり,腎・泌尿器系疾患の診断のための重要な症候である.血尿時の尿沈渣結果は,血尿の確定とその原因となっている病態推定情報の提供に意義がある.
●蛋白尿と尿沈渣から腎炎の病態を考えるとき,尿細管上皮細胞の出現や円柱(ろう様円柱,脂肪円柱,幅広円柱など),卵円形脂肪体などの従来の情報にポドサイトや丸細胞などの新たな情報を加味した病態推定情報の発信が必要である.
●尿沈渣情報は,臨床医が診断・治療方針の決定にどんな情報を必要としているかを十分に認識したうえで,しっかりとした理由を積み重ねて病態推定情報を伝えるべきである.
●尿沈渣検査は尿中の有形成分である上皮細胞類,血球類,円柱類などについておのおの正確に分類と概数計測をすることで,尿定性所見と組み合わせて尿異常を示す病態の推定情報となる.
●血尿は尿に赤血球が混入した状態であり,腎・泌尿器系疾患の診断のための重要な症候である.血尿時の尿沈渣結果は,血尿の確定とその原因となっている病態推定情報の提供に意義がある.
●蛋白尿と尿沈渣から腎炎の病態を考えるとき,尿細管上皮細胞の出現や円柱(ろう様円柱,脂肪円柱,幅広円柱など),卵円形脂肪体などの従来の情報にポドサイトや丸細胞などの新たな情報を加味した病態推定情報の発信が必要である.
●尿沈渣情報は,臨床医が診断・治療方針の決定にどんな情報を必要としているかを十分に認識したうえで,しっかりとした理由を積み重ねて病態推定情報を伝えるべきである.
参考文献
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