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文献詳細

雑誌文献

臨床検査63巻8号

2019年08月発行

文献概要

今月の特集 知っておきたい がんゲノム医療用語集

検査(検体処理,標本作製:病理検査)に関する用語

著者: 井上博文12

所属機関: 1岡山大学病院病理診断科/病理部,医療技術部 2岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床遺伝子医療学

ページ範囲:P.926 - P.929

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DNA断片化

 解析する核酸は熱,紫外線,酵素,化学物質(ホルマリン,キシレンなど),時間などによって断片化が起こる(図1).がんゲノム遺伝子パネル検査では,主に病理検査で過去に使用したホルマリン固定パラフィン包埋(formalin fixed paraffin embedded:FFPE)ブロックを用いる.FFPEブロックは組織形態保存性において優れた試料であるが,作製工程において先に記したDNA断片化の因子を全て含む試料となる.ホルマリン固定では核酸と蛋白質のアミノ基間でmethylene架橋ができる.この架橋構造の密度は固定時間が長くなるほど増加する.これにより断片化が発生し,核酸収量の低下などを生じる.このようにDNA断片化の進んだFFPEブロックを検体としたがんゲノム遺伝子パネル検査は,検査精度を下げる.

 次世代シークエンサー(next generation sequencer:NGS)ではDNA塩基配列のデータが出力される.シークエンスはDNAを裁断した短鎖DNAで行うショートリード解析であるため,検査前にDNAの断片化が進んだ状態では読み取り不良となる.

参考文献

1)Do H, Dobrovic A:Dramatic reduction of sequence artefacts from DNA isolated from formalin-fixed cancer biopsies by treatment with uracil-DNA glycosylase. Oncotarget 3:546-558,2012
2)ライカマイクロシステムズ:レーザーマイクロダイセクションLeica LMD6 & LMD7(https://www.leica-microsystems.com/jp/製品紹介/光学顕微鏡/p/leica-lmd7/)(最終アクセス:2019年5月7日)
3)日本病理学会(編):ゲノム研究用・診療用病理組織検体取扱い規程,羊土社,2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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