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文献詳細

雑誌文献

臨床検査63巻8号

2019年08月発行

文献概要

今月の特集 知っておきたい がんゲノム医療用語集

検査(核酸抽出,核酸取り扱い,核酸品質管理:遺伝子検査)に関する用語

著者: 井上博文12

所属機関: 1岡山大学病院病理診断科/病理部,医療技術部 2岡山大学大学院医歯薬学総合研究科臨床遺伝子医療学

ページ範囲:P.930 - P.932

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QC〔ΔCt(リアルタイムPCR),DIN(電気泳動),A260/A280〕

 核酸抽出に使用するホルマリン固定パラフィン包埋(formalin fixed paraffin embedded:FFPE)ブロックは,作製時の操作や保管状態,固定状況(詳細な冷虚血時間や固定時間,使用した固定液など)といった要因による核酸品質低下が懸念される.またゲノム診療に使用する核酸抽出試薬は,標準化された市販薬を使用することが望ましいとされているが,キット間での純度や収量に差異がある.

 「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」1)において,がんゲノム遺伝子パネル検査前には使用する核酸の品質確認(quality check:QC)が推奨されている.核酸のQCの実施を推奨する理由は,第一に解析結果の信頼性の担保である.解析する核酸の品質を事前に知ることで,不確かなデータに対して検体品質面からの適正な対応が可能である.第二に,結果返却までの時間(日数)(turn around time:TAT)の短縮になる.品質不良や核酸収量不足情報を得ることで,他のパネル検査や遺伝子解析検査の実施,収量不足による追加薄切や核酸濃縮などの措置をとることができ,検査エラーによるTAT延長を防ぐことができる.以下,FFPE検体の核酸品質確認のために用いられる主な指標を記す.

参考文献

1)日本病理学会ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程策定ワーキンググループ:ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程,2016(http://pathology.or.jp/genome_med/pdf/textbook.pdf)(最終アクセス:2019年6月10日)
2)臨床検査振興協議会:がん遺伝子パネル検査の品質・精度の確保に関する基本的な考え方(第1.0版),2018(http://www.jaclap.org/news/20181030.pdf)(最終アクセス:2019年5月7日)
3)柴山祥枝:核酸(DNA・RNA)の定量法 吸光分析法と蛍光分析法を中心に.ぶんせき 7:268-274,2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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