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今月の特集 知っておきたい がんゲノム医療用語集
二次的所見に関する用語
著者: 浦川優作1
所属機関: 1兵庫県立がんセンターゲノム医療・臨床試験センター
ページ範囲:P.968 - P.975
文献購入ページに移動二次的所見
がんゲノム医療において,解析対象にはなっているが本来の検査目的(一時的所見)ではない所見であり,特に生殖細胞系列に病的と確定できる遺伝子変異(本稿では,以下バリアント)が検出されることを二次的所見(secondary findings)と呼ぶ.従来は“偶発的所見(incidental findings)・二次的所見”と記載されることが多かったが,「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言」1)において,“偶発的所見”という用語は,あくまでも解析対象であることの意識が薄れる懸念があり,所見が発生したときの対応が後手に回ることにもつながる可能性があることから,本来の検査目的である“一次的所見”と本来の目的ではないが解析対象となっている遺伝子の“二次的所見”に分けて呼ぶことが提唱された.特にがんゲノム医療におけるがん遺伝子パネル検査(数百の遺伝子を同時に解析する検査)では,検査前から解析対象の遺伝子が決まっているため“二次的”という言葉もふさわしくないとも考えられるが,本稿では二次的所見と呼ぶこととする.
現在の医療において二次的所見が見いだされる可能性のある遺伝子検査は,がんゲノム医療(がんの治療のために,がん細胞における体細胞バリアントを検出することを目的とする)と,難病などの診断や治療のために行われる生殖細胞系列の全ゲノム解析や全エクソーム解析が想定される.難病などにおける全ゲノム解析や全エクソーム解析においては,診断目的としていた疾患とは別の病的と確定できるバリアントがみつかることが二次的所見とされる.一方,がんゲノム医療におけるがん遺伝子パネル検査では,最適な治療(分子標的治療薬など)に結び付くようながん細胞のみで起こっている後天的なバリアントがみつかることが一次的所見にあたるが,それ以外に,例えば生まれもった体質として生殖細胞系列に病的バリアントが疑われ,遺伝性腫瘍の可能性があるとわかることが二次的所見ということになる.
がんゲノム医療において,解析対象にはなっているが本来の検査目的(一時的所見)ではない所見であり,特に生殖細胞系列に病的と確定できる遺伝子変異(本稿では,以下バリアント)が検出されることを二次的所見(secondary findings)と呼ぶ.従来は“偶発的所見(incidental findings)・二次的所見”と記載されることが多かったが,「ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言」1)において,“偶発的所見”という用語は,あくまでも解析対象であることの意識が薄れる懸念があり,所見が発生したときの対応が後手に回ることにもつながる可能性があることから,本来の検査目的である“一次的所見”と本来の目的ではないが解析対象となっている遺伝子の“二次的所見”に分けて呼ぶことが提唱された.特にがんゲノム医療におけるがん遺伝子パネル検査(数百の遺伝子を同時に解析する検査)では,検査前から解析対象の遺伝子が決まっているため“二次的”という言葉もふさわしくないとも考えられるが,本稿では二次的所見と呼ぶこととする.
現在の医療において二次的所見が見いだされる可能性のある遺伝子検査は,がんゲノム医療(がんの治療のために,がん細胞における体細胞バリアントを検出することを目的とする)と,難病などの診断や治療のために行われる生殖細胞系列の全ゲノム解析や全エクソーム解析が想定される.難病などにおける全ゲノム解析や全エクソーム解析においては,診断目的としていた疾患とは別の病的と確定できるバリアントがみつかることが二次的所見とされる.一方,がんゲノム医療におけるがん遺伝子パネル検査では,最適な治療(分子標的治療薬など)に結び付くようながん細胞のみで起こっている後天的なバリアントがみつかることが一次的所見にあたるが,それ以外に,例えば生まれもった体質として生殖細胞系列に病的バリアントが疑われ,遺伝性腫瘍の可能性があるとわかることが二次的所見ということになる.
参考文献
1)国立研究開発法人日本医療研究開発機構:ゲノム医療における情報伝達プロセスに関する提言 がん遺伝子パネル検査と生殖細胞系列全ゲノム/全エクソーム解析について,2018(https://www.amed.go.jp/content/000031253.pdf)(最終アクセス:2019年5月21日)
2)日本遺伝カウンセリング学会情報ネットワーク委員会2016:遺伝カウンセリングQ&A,2016(http://www.jsgc.jp/faq.html)(最終アクセス:2019年6月20日)
3)Kalia SS, Adelman K, Bale SJ, et al:Recommendations for reporting of secondary findings in clinical exome and genome sequencing, 2016 update(ACMG SF v2.0): a policy statement of the American College of Medical Genetics and Genomics. Genet Med 19:249-255,2017
) Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breast and Ovarian Version3.2019
5)大腸癌研究会:遺伝性大腸癌診療ガイドライン2016年版,2016(http://www.jsccr.jp/guideline/2016/hereditary_index_guide.html)(最終アクセス:2019年5月21日)
6)臨床遺伝専門医制度委員会(http://www.jbmg.jp/)(最終アクセス:2019年5月21日)
7)認定遺伝カウンセラー制度委員会(http://plaza.umin.ac.jp/~GC)(最終アクセス:2019年5月21日)
8)Bennett RL, French KS, Resta RG, et al:Standardized human pedigree nomenclature: update and assessment of the recommendations of the National Society of Genetic Counselors. J Genet Couns 17:424-433,2008
,家族歴聴取,家系図作成
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