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増刊号 がんゲノム医療用語事典
―巻頭付録―カスケード図と分子標的治療薬
著者: 赤羽俊章1
所属機関: 1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科腫瘍学講座病理学分野
ページ範囲:P.1046 - P.1049
文献購入ページに移動 ゲノム異常と分子標的薬の関連性を理解するためには,シグナル伝達経路などの生体分子と生化学反応を知る必要がある.生体内では多くの分子が,お互いに関係性を有しており,本来の役割をそのまま図に示すと非常に複雑になる.よって分子標的治療薬と対応するゲノム異常の理解の一助になるよう簡略化したカスケード図を示し,ともに国内で承認または臨床試験が試みられている分子標的薬を一覧にした(図1,表1).分子標的薬の主な作用機序に関しては,その多くが試験管内での検討,前臨床試験で示されたものであり,必ずしも生体内で同様の反応を示すわけではない.同じゲノム異常でも原発部位の相違や他の遺伝子異常との組み合わせによっては期待される効果が得られない場合もある.また逆により大きな効果を示すこともあることから,ゲノム検査と分子標的薬,遺伝子異常の意味を理解した腫瘍内科医や分子病理専門医の助言を得ることが,エキスパートパネルにおける推奨治療選択において非常に重要である.
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