icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査64巻6号

2020年06月発行

文献概要

今月の特集 超音波検査報告書の書き方—良い例,悪い例 Ⅱ.腹部超音波

原発性硬化性胆管炎

著者: 内村智也1 丸山憲一1

所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部

ページ範囲:P.660 - P.664

文献購入ページに移動
本疾患の超音波検査所見

 原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis:PSC)は肝内外胆管のびまん性壁肥厚や拡張・狭窄が特徴とされている.超音波検査では,通常胆管壁の層構造は確認できない場合が多いが,PSCにおいては胆管壁に内側低エコーと外側高エコーの層構造が保たれた壁肥厚を認め,内膜面は整で均質な肥厚であることが多いとされる.胆管造影では特徴的な所見があるが,超音波検査では肝内胆管は限局的な拡張としか描出されないことも多い.胆管以外の所見としては胆囊腫大,肝門部・胆管周囲のリンパ節腫大を認めることがある1)

 原発性胆汁性胆管炎(primary biliary cholangitis:PBC)では,肝内小型胆管が選択的に障害されるのに対し,PSCは肝外胆管と比較的太い肝内胆管が障害される.PSCが進行するにつれ,肝実質の不整がみられる場合がある.

参考文献

1)岡村隆徳:原発性硬化性胆管炎.超実践マニュアル 肝胆膵脾(VERSUS研究会監,小倉明夫,石風呂実,松原馨,他編),医療科学社,pp256-257,2018
2)日本超音波検査学会(監),関根智紀,南里和秀(編):日超検 腹部超音波テキスト 第2版,医歯薬出版,p162,2014
3)田中篤,滝川一:原発性硬化性胆管炎・IgG4関連硬化性胆管炎の疫学.胆道 30:304-311,2016
4)西野隆義:IgG4関連硬化性胆管炎におけるトピックス.胆道 33:22-31,2019
5)大原弘隆,中沢貴宏,林香月,他:IgG4関連硬化性胆管炎の概念・診断・治療.胆道 27:92-99,2013
6)厚生労働省IgG4関連全身硬化性疾患の診断法の確立と治療方法の開発に関する研究班,厚生労働省難治性の肝胆道疾患に関する調査研究班,日本胆道学会:IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012.胆道 26:59-63,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?