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今月の特集 超音波検査報告書の書き方—良い例,悪い例 Ⅱ.腹部超音波
腎盂腎炎
著者: 内村智也1 丸山憲一1
所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部
ページ範囲:P.672 - P.676
文献購入ページに移動腎盂腎炎において,他の合併症(糖尿病などの基礎疾患や前立腺肥大症,尿路結石などの器質的疾患)のない典型的な急性単純性腎盂腎炎で,抗菌薬治療によく反応すれば,特に画像検査の必要はないとされる.72時間以内に良好な反応が認められないときに,第一選択として単純および造影CTが施行されるが,被曝がなく,ベッドサイドで施行可能な超音波検査を依頼されることは多い.ただし,超音波検査では微細な病変は2割程度しか検出されないといわれている1).
超音波検査所見は,水腎症,腎腫大,腎洞脂肪の消失,腎髄質エコーの低下,浮腫や出血に伴う腎実質エコー輝度の変化がみられる.カラードプラおよびパワードプラでは,病変部の腎小葉に一致した楔状あるいは扇形の血流低下領域がみられるとされる2).Rosenfieldら3)により,1979年に画像診断として報告された急性巣状細菌性腎炎(acute focal bacterial nephritis:AFBN)は限局した腎感染症により生じた液状化(膿瘍)を伴わない腫瘤性病変と定義されるが,上行性尿路感染から生じた急性腎盂腎炎が膿瘍化に至っていない段階とする考え方や,皮膚膿瘍や骨髄炎,細菌性の関節炎等遠隔感染巣から,血行性に伝播したものとする考え方などの所説がある.結局のところ,AFBNは急性腎盂腎炎より重症度の高い状態で,画像検査により腎実質に限局性病変が確認されたものであり,小児急性腎盂腎炎患者の20%弱,成人でも15%程度との報告がある4).
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