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文献詳細

雑誌文献

臨床検査64巻6号

2020年06月発行

文献概要

今月の特集 超音波検査報告書の書き方—良い例,悪い例 Ⅱ.腹部超音波

腎盂腎炎

著者: 内村智也1 丸山憲一1

所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院臨床生理機能検査部

ページ範囲:P.672 - P.676

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本疾患の超音波検査所見

 腎盂腎炎において,他の合併症(糖尿病などの基礎疾患や前立腺肥大症,尿路結石などの器質的疾患)のない典型的な急性単純性腎盂腎炎で,抗菌薬治療によく反応すれば,特に画像検査の必要はないとされる.72時間以内に良好な反応が認められないときに,第一選択として単純および造影CTが施行されるが,被曝がなく,ベッドサイドで施行可能な超音波検査を依頼されることは多い.ただし,超音波検査では微細な病変は2割程度しか検出されないといわれている1)

 超音波検査所見は,水腎症,腎腫大,腎洞脂肪の消失,腎髄質エコーの低下,浮腫や出血に伴う腎実質エコー輝度の変化がみられる.カラードプラおよびパワードプラでは,病変部の腎小葉に一致した楔状あるいは扇形の血流低下領域がみられるとされる2).Rosenfieldら3)により,1979年に画像診断として報告された急性巣状細菌性腎炎(acute focal bacterial nephritis:AFBN)は限局した腎感染症により生じた液状化(膿瘍)を伴わない腫瘤性病変と定義されるが,上行性尿路感染から生じた急性腎盂腎炎が膿瘍化に至っていない段階とする考え方や,皮膚膿瘍や骨髄炎,細菌性の関節炎等遠隔感染巣から,血行性に伝播したものとする考え方などの所説がある.結局のところ,AFBNは急性腎盂腎炎より重症度の高い状態で,画像検査により腎実質に限局性病変が確認されたものであり,小児急性腎盂腎炎患者の20%弱,成人でも15%程度との報告がある4)

参考文献

Acute Pyelonephritis. J Am Coll Radiol 15:S232-S239,2018
2)丸山憲一:これから腎泌尿器超音波を始める方のためのレクチャー 腎・泌尿器 初級.超音波医 46:409-423,2019
3)Rosenfield AT, Glickman MG, Taylor KJ, et al:Acute focal bacterial nephritis (acute lobar nephronia). Radiology 132:553-561,1979
4)Campos-Franco J, Macia C, Huelga E, et al:Acute focal bacterial nephritis in a cohort of hospitalized adult patients with acute pyelonephritis. Assessment of risk factors and a predictive model. Eur J Intern Med 39:69-74,2017
5)荒川創一:急性腎盂腎炎,尿路性敗血症.診断と治療 102(suppl):334-341,2014
6)日本超音波検査学会(監),関根智紀,南里和秀(編):日超検 腹部超音波テキスト 第2版,医歯薬出版,p200,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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