臨床検査64巻9号

2020年09月発行

今月の特集2 どうする？精度管理

生理機能検査の精度管理—心電図検査の精度管理

著者： 鳴海純¹

所属機関： ¹東京医科歯科大学医学部附属病院検査部

ページ範囲：P.1002 - P.1007

Point

●心電図検査を含む生理検査の精度管理は近年に至るまでほとんど議論されてこなかったが，ISO 15189の認定範囲に生理学的検査が含まれたことによって急速に関心が高まっている．

●心電図検査の精度管理は“心電計の精度管理”だけでなく“技師の精度管理”も必要である．“技師の精度管理”は知識と技量の面からアプローチする必要がある．

●現状は，施設ごとその施設の状況に合わせた精度管理体制を構築している段階である．今後，多くの施設からの運用報告を多面的に検証し，“心電図検査の精度管理の標準化”に向けた議論を加速していくことが望まれる．

参考文献

1）鳴海純：実施しにくい臨床検査分野の精度管理の現状と今後　生理検査領域における内部精度管理の現状と今後　当院での取り組みの紹介と今後の課題．臨病理　66：1121-1128，2018

2）岡本登：臨床生理検査の精度管理の現状と問題点．日自動化健診システム研究会々誌　2：21-26，1974

3）櫻井えり子，本山めぐみ，長谷川かおり，他：心電図検査内部精度管理の方法に関する検討，第56回日臨技中部圏支部医学検査学会抄録，演題107，2017

4）木下靖子，前田トモ子，池本文花，他：心電図検査における精度管理への取り組み，第67回日本医学検査学会抄録，演題270，2018

5）富原健，大村直子，古川泰司：生理検査の精度を保証するための私達の取り組み　心電図検査．Med Technol　48：124-130，2020

6）Lundberg GD：When to panic over abnormal values. Med Lab Obs　4：47-54，1972