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文献詳細

雑誌文献

臨床検査64巻9号

2020年09月発行

文献概要

緊急企画「コロナ時代の臨床検査」

新型コロナウイルス感染症検査と臨床検査技師

著者: 宮島喜文1

所属機関: 1日本臨床衛生検査技師会

ページ範囲:P.1022 - P.1025

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1.新型コロナウイルス感染症に関する動向

 中国武漢市で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界中に瞬く間に広がり,パンデミック(世界的流行)の様相となり,多くの人命を奪うとともに,社会・経済活動へ甚大な損害を与えている.人類の歴史は感染症との戦いであったといわれるほど長い歴史があり,治療薬やワクチンの接種,環境衛生の改善により制圧できたものもある.一方,動物などからの由来による未知の病原体に侵される新型感染症が数年ごとに発生しているのも事実であり,2002年の重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome:SARS)や2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1)の世界的流行も記憶に新しい.

 さて,わが国では,2020年1月15日に国内における新型コロナウイルス感染者患者の1例目が確認され,政府も対策に乗り出した.2月3日に横浜港に寄港したクルーズ船の検疫から多くの感染者が発見され,政府ではこの感染症に関する専門家会議を設けるとともに,2月25日に新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を決定した.3月に入って感染者が全国に広がり,感染者を受け入れる医療機関が逼迫したことから,4月7日に国は東京都など7都府県を対象に緊急事態宣言を発出し,また,4月16日には47都道府県に拡大し,国民に不要不急の外出自粛や休業を呼び掛けるなど感染拡大防止に努めた.感染者は次第に減少し,感染爆発に至らずに5月25日に緊急事態宣言を全面解除し,感染拡大防止対策を進めるとともに,段階的に社会・経済活動を再開した.この時点では,わが国の感染者数や死亡者数は欧米に比べ極めて低く,第1波を乗り切ったと判断した.しかし,緊急事態宣言の全面解除後6月に入り,感染者は増加しはじめ,8月には東京都で400人を超える感染者が報告されており,予断を許さない状況にある.

参考文献

1)厚生労働省:新型コロナウイルス感染症に関する検査について(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00132.html)(最終アクセス:2020年7月21日)
2)厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部:「新型コロナウイルス感染症に関するPCR等の検査体制の強化に向けた指針」について(令和2年6月2日)(https://www.mhlw.go.jp/content/000636113.pdf)(最終アクセス:2020年7月21日)
3)首相官邸:令和2年4月7日 新型コロナウイルス感染症に関する安倍内閣総理大臣記者会見(https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0407kaiken.html)(最終アクセス:2020年7月21日)
4)厚生労働省健康局結核感染症課:感染症発生動向調査事業の活用によるPCR検査の体制強化のための研修の実施について(令和2年5月25日)(https://www.mhlw.go.jp/content/000633273.pdf)(最終アクセス:2020年7月21日)
5)厚生労働省医政局医事課,厚生労働省健康局結核感染症課:臨床検査技師に対する新型コロナウイルス感染症の診断を目的としたPCR検査のための鼻腔・咽頭拭い液の採取に関する研修の実施について(令和2年6月2日)(https://www.mhlw.go.jp/content/000636385.pdf)(最終アクセス:2020年7月21日)
6)文部科学省:科学技術白書(令和2年版),2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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