抗菌薬適正使用支援活動が進められるなか,感染症診療の大前提となる原因微生物同定に直結するDiagnostic Stewardshipの推進が強く叫ばれています.一方,病院経営の観点から微生物検査室業務の縮小や外注化の流れがあり,抗菌薬適正使用支援活動における要といえる微生物検査室の重要性にあらためて注目する必要があります.
本特集は,Diagnostic Stewardshipの観点で微生物検査室に期待される役割を見直すことを目的として企画をしました.前半は,①Diagnostic Stewardshipとはそもそも何なのか,②その適切な評価で重要となる“診療全体”と“臨床検査”の視点,③迅速検査の活用法と注意点に関して,それぞれ基本的な考え方をバランスよく理解できる内容となっています.後半では,①医師からみた微生物検査室とのコミュニケーションの重要性,②臨床検査技師からみた具体的実践と課題,③微生物検査室を取り巻く現状と課題について,それぞれ経験豊富な先生方から解説いただきました.
本特集を通して,Diagnostic Stewardshipの考え方と実践に必要な知識を整理していただき,微生物検査室のあり方を広く問い直す機会となるよう願っています.