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文献詳細

雑誌文献

臨床検査65巻4号

2021年04月発行

文献概要

増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 一般検査

ベンスジョーンズ蛋白(BJP)の特徴を教えてください

著者: 西山大揮1

所属機関: 1帝京大学医学部附属溝口病院中央検査部

ページ範囲:P.298 - P.299

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ベンスジョーンズ蛋白(BJP)とは

 ベンスジョーンズ蛋白(Bence Jones protein:BJP)については,1844年に英国・ロンドンの内科医であるWilliam Macintyreが,共通の症状をもつ患者尿が異常高比重であることに気付き,内科医であり病態化学者でもあったHenry Bence Jones医師に解析を依頼したことで発見された.

 BJPは多発性骨髄腫などの形質細胞増殖疾患によって過剰に産生された免疫グロブリン遊離軽鎖とされている.遊離軽鎖(free light chain:FLC)とは免役グロブリン軽鎖(L鎖)で免疫グロブリン重鎖(H鎖)と対にならないものである.炎症における多クローン性高γグロブリン血症や腎機能障害ではこのFLCの血中濃度が上昇することはあるが,κ鎖とλ鎖は均等に上昇するため,κ/λ比は変化しない.しかし,多発性骨髄腫などの形質細胞増殖性疾患では単クローン性のFLCが産生されるため,κ/λ比が異常となる.FLCは単量体(もしくは二量体)で分子量が約22,000と比較的小さく,また陰性荷電も少ないことから腎糸球体で濾過される.

参考文献

●菊池春人:尿蛋白試験紙とBence Jones蛋白.検と技 39:588-592,2011
●成田健太郎,末永孝生:血清遊離軽鎖(FLC).日臨 74(増刊号5):207-212,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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