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文献概要

増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 一般検査

Fabry病患者の尿中にみられる,マルベリー細胞やマルベリー小体について教えてください

著者: 小林紘士1

所属機関: 1日本医科大学付属病院臨床検査部

ページ範囲:P.306 - P.307

マルベリー細胞およびマルベリー小体の特徴

 Fabry病患者の尿沈渣中にはマルベリー細胞,あるいはその細胞の一部と思われるマルベリー小体と呼ばれる,いずれも細胞内部の構造が渦巻き状を示す成分が認められる(図1,2).顕微鏡で観察するときに微動を細かく調整して観察することが鑑別のポイントとなる.渦巻き状構造こそが最大の特徴であるが,卵円形脂肪体,あるいは脂肪顆粒と比較しても渦巻き状構造以外の所見で判別することは困難と思われる.しかし,ズダンⅢ染色での染色性が不良であることが,卵円形脂肪体や脂肪顆粒との鑑別ポイントの1つとなる.

 ほかの類似成分として,抗真菌薬投与中の患者尿で真菌薬の影響によって変形した真菌が挙げられるが,この成分には光沢感はなく,重屈折偏光像も示さないため判別が可能である.一方で,近年では渦巻き状構造を示さないマルベリー細胞あるいはマルベリー小体も認められることが報告されており,それらを初見で鑑別することは非常に困難であると思われる.まずは典型的な渦巻き状構造のマルベリー細胞,マルベリー小体を確実に検出することが重要と思われる.

参考文献

●小林紘士:尿沈渣におけるマルベリー小体 ファブリー病診断における有用性を中心に.検と技 45:1236-1240,2017

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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