文献詳細
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臨床化学
アルブミンのデータをみるときに,測定法に注意しなければならないのはなぜですか? また,どんなことに注意する必要がありますか?
著者: 村本良三1
所属機関: 1埼玉医科大学保健医療学部臨床検査学科
ページ範囲:P.356 - P.357
文献概要
血清アルブミンの日常検査法には,ブロムクレゾールグリーン(BCG)法,ブロムクレゾールパープル(BCP)法および改良BCP法の3法がある.しかし,3法の測定値には違いがみられ,臨床的に問題となる低アルブミン域において乖離が生じる.BCG法はアルブミンのみならずグロブリン類,特に急性期蛋白とも反応する.BCP法はグロブリン類とはほとんど反応しないものの,還元型に比べて酸化型との反応性が高く,δ-ビリルビンおよび透析患者で上昇する内因性薬物結合阻害因子による負誤差がある.改良BCP法はペニシリンGの大量投与による負誤差が指摘されているものの,従来のBCP法における酸化型と還元型の呈色度差を解消した正確度が高い測定法である.
標準化対策としては標準物質の統一が有効であるが,日常検査3法の反応性の違いから,血清アルブミン測定においては効果がない.このため,日本臨床検査医学会では日常検査法の統一化の方針を固めた.現在,改良BCP法による標準化が進められている.
参考文献
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