icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査65巻4号

2021年04月発行

文献概要

増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 臨床化学

アルブミンのデータをみるときに,測定法に注意しなければならないのはなぜですか? また,どんなことに注意する必要がありますか?

著者: 村本良三1

所属機関: 1埼玉医科大学保健医療学部臨床検査学科

ページ範囲:P.356 - P.357

文献購入ページに移動
血清アルブミンの日常検査法の現状と標準化

 血清アルブミンの日常検査法には,ブロムクレゾールグリーン(BCG)法,ブロムクレゾールパープル(BCP)法および改良BCP法の3法がある.しかし,3法の測定値には違いがみられ,臨床的に問題となる低アルブミン域において乖離が生じる.BCG法はアルブミンのみならずグロブリン類,特に急性期蛋白とも反応する.BCP法はグロブリン類とはほとんど反応しないものの,還元型に比べて酸化型との反応性が高く,δ-ビリルビンおよび透析患者で上昇する内因性薬物結合阻害因子による負誤差がある.改良BCP法はペニシリンGの大量投与による負誤差が指摘されているものの,従来のBCP法における酸化型と還元型の呈色度差を解消した正確度が高い測定法である.

 標準化対策としては標準物質の統一が有効であるが,日常検査3法の反応性の違いから,血清アルブミン測定においては効果がない.このため,日本臨床検査医学会では日常検査法の統一化の方針を固めた.現在,改良BCP法による標準化が進められている.

参考文献

1)橋本儀一,片山寛次,井村敏雄,他:血清アルブミン値を計算に用いる臨床的栄養指標の問題点—測定法改良による指標値の乖離.静脈経腸栄養 28:1091-1099,2013
2)刈米和子,藤田淑香,汐谷陽子:C反応性蛋白の血清アルブミン側定への関与と栄養状態識別値への影響.生物試料分析 33:383-390,2010
3)日本臨床検査医学会血清アルブミン定量値ワーキンググループ:血清アルブミン測定値についての提言書—BCG法とBCP改良法による測定値の差の取り扱い方,2013(https://www.jslm.org/others/news/20131225albumin.pdf)(最終アクセス:2020年12月21日)
4)日本臨床化学会酵素・試薬専門委員会血清アルブミン常用基準測定操作法設定プロジェクト:血清アルブミン測定のための比較対照法.臨化 42:68-79,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?