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文献詳細

雑誌文献

臨床検査65巻4号

2021年04月発行

文献概要

増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 臨床化学

トロポニンT/Iが陽性ですが,明らかな心筋傷害は認めません.どのようなことが考えられますか?

著者: 石橋みどり1

所属機関: 1新東京病院臨床検査室

ページ範囲:P.360 - P.361

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トロポニン(Tn)測定の意義

 トロポニン(Tn)は筋肉の収縮調節をつかさどるフィラメントを構成する蛋白複合体である.心筋トロポニン(cTn)は90%以上が心筋細胞の構造フィラメントに,約6%が可溶性成分として細胞質に存在する.心筋特異性が極めて高く,急性冠症候群(ACS)の診断に有用である.

 cTnは2000年のESC/ACC急性心筋梗塞(AMI)診断の改定によってAMI診断基準に記載された.また,2012年からは「心筋梗塞の国際定義 第3版」1)において第1選択マーカーとして推奨されている.ACSの早期診断に有効で,高感度法では2時間未満の超急性期にも有用である(表1)2).他のマーカーと比較して発症後,長時間にわたって高値が継続するので,診断有用性が高い(図1).また,心不全患者の予後予測マーカーとしての有用性も報告されている3)

参考文献

1)Thygesen K, Alpert JS, Jaffe AS, et al:Third universal definition of myocardial infarction. J Am Coll Cardiol 60:1581-1598,2012
2)日本循環器学会:循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011-2012年度合同研究班報告)(https://www.j-circ.or.jp/guideline/guideline-series/)(最終アクセス:2020年12月3日)
3)佐藤幸人,藤原久義,鷹津良樹:心不全における心筋トロポニン測定.日心臓病会誌 7:146-151,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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