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文献詳細

雑誌文献

臨床検査65巻4号

2021年04月発行

文献概要

増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 臨床化学

直接ビリルビンが紹介元のデータと大きく違っていた場合,どのようなことが考えられますか?

著者: 川崎健治1

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.368 - P.369

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 直接ビリルビンが紹介元のデータと大きく違っていた場合は,紹介元と自施設の試薬が異なることが原因である.患者の身体所見や経過,検体の色調などの臨床情報と直接ビリルビンの測定値が乖離するならば,M蛋白や薬剤など検体中の成分による影響が考えられるため1,2),精査が必要である.臨床情報との乖離がない場合は,試薬中の成分とビリルビン分画の反応性の違いに起因しており(図1),しばしば閉塞性黄疸の減黄期の測定値でみられる.紹介元から直接ビリルビンの測定法に関する情報を入手し,試薬性能を理解したうえで測定値を解釈する必要がある.

 試薬の添付文書にビリルビン分画の反応性が記載されていない場合があるので,表1の情報を参照する.詳細については販売元から正確な情報を手に入れるとよい.

参考文献

1)Nauti A, Barassi A, Merlini G, et al:Paraprotein interference in an assay of conjugated bilirubin. Clin Chem 51:1076-1077,2005
2)猪田猛久,山本慶和,山中亨,他:総ビリルビン測定において酵素法がジアゾ法より高値となる一原因.日臨検自動化会誌 27:666-669,2002
3)Lauff JJ, Kasper ME, Ambrose RT:Separation of bilirubin species in serum and bile by high-performance reversed-phase liquid chromatography. J Chromatogr 226:391-402,1981
4)近藤仁司,黒坂啓介,仙波章治,他:酵素を用いたビリルビンの選択的測定法の検討.臨化 25:20-27,1996
5)渭原博,大澤進,石橋みどり,他:臨床検査で用いる血清ビリルビン分画の名称の定義.臨化 49:127-135,2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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