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文献概要

増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 免疫・輸血

リウマトイド因子と抗CCP抗体の比較は,今はどうなっていますか?

著者: 本島新司1 中下珠緒1

所属機関: 1湘南藤沢徳洲会病院リウマチ・膠原病・アレルギー科

ページ範囲:P.388 - P.389

 リウマチ因子(RF)は1940年代に発見され,1958年に米国のRA(rheumatoid arthritis.関節リウマチ)分類基準に入れられた.しかし,長年,診断などに使用されているにもかかわらず,RFの産生機序やRA発症への関与機序はよくわかっていない1).一方,抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA.抗CCP抗体として臨床で測定する)は1990年代にその存在が明確になった.ACPAに関しては,その産生機序,ヒト白血球抗原(HLA)との関係,関節炎発症に対する関与が研究され,RA発症に非常に重要な役割を果たしていると考えられている1)

 それでは,RF測定はどうでもよいか,といわれると,そうではなく,2010年RAの新分類基準(表1)2)でも同等の扱いになっている.理由は,RAにおける感度(陽性率)がほとんど同じであるからである(表2)3,4).しかし,特異度は異なり,RFは85%程度,抗CCP抗体は95%程度である1).そのため,RF陽性ではRA以外の疾患がないか注意すべきである.疾患のない若年者ではRF陽性は5%以下であるが,70歳では25%という報告もある4).変形性膝関節症の75歳高齢者にRFは1/4に陽性になる可能性があり,RAと診断されてしまう可能性があるので注意が必要である.RFも抗CCP抗体もcut-off pointを上げると特異度は上がるが,感度が低下する.

参考文献

,2020
2)Aletaha D, Neogi T, Silman AJ, et al:2010 rheumatoid arthritis classification criteria: an American College of Rheumatology/European League Against Rheumatism collaborative initiative. Ann Rheum Dis 69:1580-1588,2010
3)Aggarwal R, Liao K, Nair R, et al:Anti-citrullinated peptide antibody assays and their role in the diagnosis of rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum 61:1472-1483,2009
4)Ingegnoli F, Castelli R, Gualtierotti R:Rheumatoid factors: clinical applications. Dis Markers 35:727-734,2013
5)Nishimura K, Sugiyama D, Kogata Y, et al:Meta-analysis: diagnostic accuracy of anti-cyclic citrullinated peptide antibody and rheumatoid factor for rheumatoid arthritis. Ann Intern Med 146:797-808,2007

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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