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雑誌詳細

文献概要

増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 感染症

血液培養から連鎖状のグラム陽性球菌が陽性になりました.ボトルが溶血しているといわれたのですが,どういう意味でしょうか?

著者: 三河貴裕1

所属機関: 1山梨県立中央病院総合診療科・感染症科

ページ範囲:P.416 - P.417

溶血の機序と分類

 “ボトルが溶血している”というのは,血液培養ボトル中の赤血球が破壊されている,という意味である.

 連鎖球菌のなかで溶血素を産生するものを“溶血性連鎖球菌(溶連菌)”と呼ぶ.微生物検査室では血液寒天培地を用いて,α溶血(不完全溶血:緑色連鎖球菌),β溶血(完全溶血:病原性が強い),γ溶血(溶血しない)の3つに分類する.ボトルが溶血している場合はβ溶連菌である可能性が高く,Streptococcus pyogenes,S.agalactiae,S.dysgalactiaeのどれかである.培地に生えたコロニーを用いてラテックス凝集反応を用いて菌名を推定することができる(Lancefieldの分類).S.pyogenesはA群(group A streptococcus:GAS),S.agalactiaeはB群(GBS),S.dysgalactiaeはC群あるいはG群であることが多い.これらの菌は病原性が高く,4本採取したボトルのうち1本しか生えていなくても,真の菌血症と考える必要がある.

参考文献

1)Edwards MS, Baker CJ:Group B streptococcal infections in elderly adults. Clin Infect Dis 41:839-847,2005
2)Lefort A, Lortholary O, Casassus P, et al:Comparison between adult endocarditis due to beta-hemolytic streptococci (serogroups A, B, C, and G) and Streptococcus milleri: a multicenter study in France. Arch Intern Med 162:2450-2456,2002
3)Claridge JE 3rd, Attorri S, Musher DM, et al:Streptococcus intermedius, Streptococcus constellatus, and Streptococcus anginosus (“Streptococcus milleri group”) are of different clinical importance and are not equally associated with abscess. Clin Infect Dis 32:1511-1515,2001

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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