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文献詳細

雑誌文献

臨床検査65巻4号

2021年04月発行

文献概要

増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 感染症

喀痰培養でCandida albicansが検出されたのですが,ミカファンギンを投与したほうがいいですか?

著者: 宇野俊介1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部感染症学

ページ範囲:P.420 - P.421

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喀痰培養で検出されたCandida属の意義

 Candida属は人の皮膚や粘膜に常在する真菌である.Candida感染症は,宿主防御機能が低下した場合や,広域抗菌薬の使用によって他の細菌が減りCandida属が異常に増殖した場合に生じる.つまり,殺細胞性抗癌化学療法の使用,免疫抑制薬の使用,広域抗菌薬の使用,血管内カテーテルの留置,人工物の留置,高カロリー輸液の使用などのリスクファクターを有する患者で起きる場合が多い.Candida感染症で頻度が高く重要なものは,まずは皮膚や粘膜の感染症である.さらに,血管内留置カテーテルを使用している場合,皮膚からカテーテルを介して生じる血流感染症が重要である.

 喀痰を含む気道検体の培養で検出されるCandida属の多くは,採取される過程で混入してしまった常在菌である.Candida属による肺炎は非常にまれな病態であるため,気道検体で検出されたことのみで治療対象とすべきでないと,米国感染症学会のガイドラインに記載されている1)

参考文献

1)Pappas PG, Kauffman CA, Andes DR, et al:Clinical Practice Guideline for the Management of Candidiasis: 2016 Update by the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis 62:e1-e50,2016
2)Sobel JD, Fisher JF, Kauffman CA, et al:Candida urinary tract infections--epidemiology. Clin Infect Dis 52(Suppl 6):S433-S436,2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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