文献詳細
増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室
感染症
C.difficile感染症を疑って検査をしたところ,トキシンは陰性だけれど抗原は陽性と言われました.次に何をすればよいですか?
著者: 上蓑義典1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部臨床検査医学
ページ範囲:P.422 - P.423
文献概要
Clostridioides(Clostridium)difficileはグラム陽性偏性嫌気性菌であり,院内下痢症の主要な原因の1つであるC.difficile関連下痢症(CDAD)を引き起こす.CDADは,C.difficileの産生する外毒素であるtoxin Aまたはtoxin Bが腸管の上皮細胞や免疫細胞に作用し,粘膜障害などを起こすことで下痢が生じる.このため,CDIの検査は下痢症の原因としてC. difficileのtoxinの産生があるかをみることが目的であり,下痢をしていない患者に検査しても意味がない.米国のガイドライン1)では24時間以内に3回以上,形のない便を認めた患者が検査適応とされており,わが国のガイドライン2)ではその指標としてBristol Score 5以上を用いるとされている.
参考文献
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