文献詳細
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感染症
β-D-グルカン検査には偽陽性があると聞きました.どのような場合に偽陽性になるのですか?
著者: 村中清春1
所属機関: 1諏訪中央病院リウマチ・膠原病内科
ページ範囲:P.426 - P.427
文献概要
β-D-グルカンは多くの真菌において細胞壁の主要な構成成分であり,陽性となる主な深在性真菌感染症はCandida spp.,Aspergillus spp.,Pneumocystis jiroveciiである(表1).陽性とならない微生物の代表はムコール症をきたす真菌とCryptococcus spp.である(表2).前者はそもそも細胞壁にβ-D-グルカンが存在せず,後者はβ-D-グルカンをもつが,厚い莢膜多糖の影響で陽性化しないと考えられている.
β-D-グルカン検査にはいくつかの偽陽性の報告がある(表3)1).その要因としてβ-D-グルカン含有物の摂取・投与,検査手技の問題が指摘されているが,その他にメカニズムがよくわかっていないものもある.偽陽性はいわば“検査の副作用”であり,治療薬剤の副作用と同様にその因果関係を証明することは難しい.
参考文献
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