icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査65巻4号

2021年04月発行

文献概要

増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 感染症

皮膚組織の培養から迅速発育菌が検出したと報告を受けました.迅速発育菌とはなんですか?

著者: 藤原啓司1 森本耕三1

所属機関: 1公益財団法人結核予防会 複十字病院呼吸器センター呼吸器内科

ページ範囲:P.428 - P.429

文献購入ページに移動
迅速発育菌とは

 迅速発育菌とは,非結核性抗酸菌(NTM)のうち,固形培地で7日以内にコロニー形成(発育する)される菌と定義される.NTMは抗酸菌のなかで結核菌,らい菌を除いた菌の総称である.2020年現在,NTMは200菌種近く(迅速発育菌は90菌種近く)が確認されており,検査法の進歩に伴って報告される新種が増え続けている.迅速発育菌は自然環境から家庭環境まで広く存在しており,ヒトへの感染例が報告されている.米国ではさまざまな地域の土壌サンプルの30〜78%で迅速発育菌が分離されたと報告されている1)

 治療に関しては,迅速発育菌の多くは1st lineの抗結核薬に感受性がなく,薬剤感受性試験に基づいて治療レジメンを決定する必要がある.わが国ではブロスミックRGM(極東製薬工業社)を用いた薬剤感受性試験が実施可能である.

参考文献

1)Brown-Elliott BA, Philley JV:Rapidly Growing Mycobacteria. Tuberculosis and Nontuberculous Mycobacterial Infections, 7th ed (David Schlossberg, ed), ASM Press,pp703-723,2017
2)Philley JV, Griffith DE:Disease Caused by Mycobacterium Abscessus and Other Rapidly Growing Mycobacteria (RGM). Nontuberculous Mycobacterial Disease, pp369-399, 2018
3)Hase I, Morimoto K, Sakagami T, et al:Disseminated Mycobacterium gordonae and Mycobacterium mantenii infection with elevated anti-IFN-γ neutralizing autoantibodies. J Infect Chemother 21:468-472,2015
4)Wentworth AB, Drage LA, Wengenack NL, et al:Increased incidence of cutaneous nontuberculous mycobacterial infection, 1980 to 2009: a population-based study. Mayo Clin Proc 88:38-45,2013
5)Koh WJ:Nontuberculous Mycobacteria-Overview. Microbiol Spectr 5:1-7,2017
6)中嶋弘(監):皮膚抗酸菌症—その臨床と本邦報告例,メジカルセンス,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?