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増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 感染症
皮膚組織の培養から迅速発育菌が検出したと報告を受けました.迅速発育菌とはなんですか?
著者: 藤原啓司1 森本耕三1
所属機関: 1公益財団法人結核予防会 複十字病院呼吸器センター呼吸器内科
ページ範囲:P.428 - P.429
文献購入ページに移動迅速発育菌とは,非結核性抗酸菌(NTM)のうち,固形培地で7日以内にコロニー形成(発育する)される菌と定義される.NTMは抗酸菌のなかで結核菌,らい菌を除いた菌の総称である.2020年現在,NTMは200菌種近く(迅速発育菌は90菌種近く)が確認されており,検査法の進歩に伴って報告される新種が増え続けている.迅速発育菌は自然環境から家庭環境まで広く存在しており,ヒトへの感染例が報告されている.米国ではさまざまな地域の土壌サンプルの30〜78%で迅速発育菌が分離されたと報告されている1).
治療に関しては,迅速発育菌の多くは1st lineの抗結核薬に感受性がなく,薬剤感受性試験に基づいて治療レジメンを決定する必要がある.わが国ではブロスミックRGM(極東製薬工業社)を用いた薬剤感受性試験が実施可能である.
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