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増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 感染症
CREが検出されたのですが,カルバペネマーゼ産生菌ではないといわれました.どういう意味ですか?
著者: 永田美香1
所属機関: 1慶應義塾大学病院臨床検査科
ページ範囲:P.430 - P.431
文献購入ページに移動 CREはカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae)の略称であり,CRE感染症は感染症法5類(全数把握疾患)に該当する1).この場合のCREは薬剤感受性試験結果によって定義される(表1)1).カルバペネム耐性の機序として,酵素(カルバペネマーゼ)産生による抗菌薬の分解,他のβラクタマーゼ過剰産生+外膜蛋白の変化などが挙げられるが,院内感染対策においてはカルバペネマーゼ産生による耐性化が重要となる.その理由として,カルバペネマーゼを産生する腸内細菌科細菌はCPE(carbapenemase-producing Enterobacteriaceae)と呼ばれ,カルバペネム系抗菌薬およびほとんどのβラクタム薬を不活化し耐性を示すことと,カルバペネマーゼをコードする遺伝子の多くはプラスミド上に存在し,菌種を超えて伝播しうることが挙げられる.
諸外国ではカルバペネマーゼを産生するCRE(CP-CRE)の分離頻度が高いこともあり,CPEとCREは同義語として使われるが,わが国ではカルバペネマーゼ非産生のCREや,CRE定義に該当しないCPEが多く検出されるため,検査を進めるうえで注意が必要である(図1).
諸外国ではカルバペネマーゼを産生するCRE(CP-CRE)の分離頻度が高いこともあり,CPEとCREは同義語として使われるが,わが国ではカルバペネマーゼ非産生のCREや,CRE定義に該当しないCPEが多く検出されるため,検査を進めるうえで注意が必要である(図1).
参考文献
1)厚生労働省:カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 感染症法に基づく医師及び獣医師の届出について(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-140912-1.html)(最終アクセス:2020年12月21日)
2)日本臨床微生物学会検査法ガイド等作成委員会・耐性菌検査法ガイド作成作業部会:耐性菌検査法ガイド.日臨微生物誌 27(Suppl.3):104-105,2017
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