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増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 病理
検体を固定する際に気を付ける点を教えてください
著者: 山里勝信1
所属機関: 1順天堂大学医学部附属順天堂医院病理診断センター
ページ範囲:P.440 - P.441
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固定は病理組織検査を行ううえで検査結果にも影響する重要な最初の工程である.組織・細胞は血流が遮断された時点から自己融解が始まるため,①可能な限り生体内に存在した状態をとどめて安定させる(自己融解,成分の拡散・細胞内外物質溶出の防止),②蛋白質を一部変性させ,一定の硬度を与える,③染色性を増大する,を目的として行われる.
固定液には多くの種類があり,目的によって使い分ける必要があるが,全てを網羅できる完璧な固定液は存在しない.一般的にはホルマリンが使用されている.本稿では,近年,コンパニオン診断や次世代シーケンサー(NGS)を用いる遺伝子検査などでも推奨されている1)10%中性緩衝ホルマリンでの固定方法について述べる.
固定は病理組織検査を行ううえで検査結果にも影響する重要な最初の工程である.組織・細胞は血流が遮断された時点から自己融解が始まるため,①可能な限り生体内に存在した状態をとどめて安定させる(自己融解,成分の拡散・細胞内外物質溶出の防止),②蛋白質を一部変性させ,一定の硬度を与える,③染色性を増大する,を目的として行われる.
固定液には多くの種類があり,目的によって使い分ける必要があるが,全てを網羅できる完璧な固定液は存在しない.一般的にはホルマリンが使用されている.本稿では,近年,コンパニオン診断や次世代シーケンサー(NGS)を用いる遺伝子検査などでも推奨されている1)10%中性緩衝ホルマリンでの固定方法について述べる.
参考文献
1)日本病理学会(編):ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程,2018(http://pathology.or.jp/genome_med/pdf/textbook.pdf)(最終アクセス:2021年1月25日)
2)藤田浩司,黒田雅彦:組織固定法の理論と実際 ホルマリン水と中性緩衝ホルマリン液の固定原理.Med Technol 40:586-590,2012
3)田部陽子,小倉加奈子:病理診断の命! 正しい検体提出 病理組織診検体編.レジデントノート 18:751-755,2016
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