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文献詳細

雑誌文献

臨床検査65巻4号

2021年04月発行

文献概要

増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 病理

複数の生検検体を提出するとき,検体をろ紙に貼り付けて番号付与すれば,1つの容器に全て入れて提出してよいですか?

著者: 片倉和哉1

所属機関: 1香川大学医学部附属病院病理部

ページ範囲:P.444 - P.445

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複数の検体を1つの容器にまとめて入れてよいか

 生検検体はサイズが小さいので,検体の紛失,挫滅を防ぐ目的や形態を保持するためにろ紙に貼り付けられることが多い.しかし,ろ紙に貼り付けた生検が剝がれることがある.検体の状態によってろ紙から剝がれやすいものもあり,特に食道粘膜などの扁平上皮が剝がれやすい.同一容器に複数の検体を入れた場合,容器内でろ紙から検体が剝がれることで生検番号がわからなくなり,採取部位が不明になる.その結果,同一患者における検体の取り違えが生じる危険性がある.

 したがって,採取部位が異なる生検検体は別々の容器に入れるのが原則であり,それぞれの容器に必ず,患者属性(氏名,IDなど)および検体情報(採取部位,枝番号など)を記載するのが望ましい1).さらに,主治医が病理組織依頼書にも,その識別が可能であるよう記載し,検体個数を明記する.間仕切りのついた生検標本カセットを使用することで複数の採取された組織が混在しないようにする方法もある.

参考文献

1)日本病理学会病理検体処理ガイドラインワーキンググループ:病理検体取扱いマニュアル—病理検体取り違えを防ぐために,日本病理学会,pp3-12,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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