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文献詳細

雑誌文献

臨床検査65巻4号

2021年04月発行

文献概要

増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室 病理

細胞診検体を提出する際に,冷蔵庫に入れるようにいわれるのですが,なぜですか? また,なぜ細胞診検体はアルコール固定なのですか?

著者: 渡部顕章1

所属機関: 1東京医科大学病院病理診断科

ページ範囲:P.450 - P.451

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細胞の変性を最小限にするには

 生体から採取された細胞は血液(酸素,栄養)の供給が絶たれ,温度,浸透圧の変化,細胞小器官による自己融解,細胞外からの刺激(細菌増殖)などによって核クロマチンの凝縮,核の断片化,細胞質の断片化,空胞化,細胞の縮小や肥大などの変性に至り,最終的には細胞が消失する.

 例えば,採取後の髄液細胞は変性が早いため採取後1時間以内に検査を実施する必要がある.室温保存では2時間後には細胞が68%に減少し,細胞成分のなかでは単核球より多核球のほうが変性は早いといわれている.髄液は液体内の蛋白濃度が低いため,変性や分解が起こりやすく判定が大きく変わってしまう可能性がある.

参考文献

1)尾崎善孝,古川文夫,阿部寛(編):病理組織標本作製の理論,実験病理組織技術研究会,2008
●田嶋基男,松田実,社本幹博,他(編):臨床細胞学,名古屋大学出版会,1993
●田嶋基男(編):細胞診の基本 上巻 総論,武藤化学,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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