臨床検査65巻6号

2021年06月発行

今月の特集 典型例の臨床検査を学ぶ

慢性膵炎

著者： 山﨑正晴¹

所属機関： ¹奈良県立医科大学附属病院中央臨床検査部

ページ範囲：P.624 - P.627

初診（診察）時症状・所見

　患者は60歳代，男性．既往歴・家族歴に特記すべきことなし．アルコール摂取歴は20歳時から日本酒3合/日であった．喫煙歴は20〜30歳まで30本/日．3年前から食後の心窩部痛，下痢と脂肪便が出現していた．食事摂取量に変わりはないが，3年前から現在までに10kgの体重減少を認めていた．

　診察では，眼瞼結膜に貧血なし．球結膜に黄染なし．表在リンパ節を触知しなかった．腹部は平たん，軟で圧痛はなかった．腸音に異常を認めなかった．

参考文献

1）日本膵臓学会：慢性膵炎診断基準2019．膵臓　34：279-281，2019（http://www.suizou.org/pdf/diagnostic_criteria2019.pdf）（最終アクセス：2021年1月29日）

2）山田俊幸：酵素検査．異常値の出るメカニズム　第7版（河合忠監，山田俊幸，本田孝行編），医学書院，pp97-102，2018

3）成瀬達：診断基準の解説　膵酵素．膵臓　24：666-670，2009

4）Kwon CI, Kim HJ, Korc P, et al：Can We Detect Chronic Pancreatitis With Low Serum Pancreatic Enzyme Levels?. Pancreas　45：1184-1188，2016

5）Olesen SS, Krarup H, Poulsen JL, et al：Pancreas-specific plasma amylase for assessment and diagnosis of chronic pancreatitis: New insights on an old topic. United European Gastroenterol J　7：955-964，2019

6）植田圭二郎，下川雄三，秋穂裕唯，他：膵炎の診断方法　膵炎における膵内分泌検査．胆と膵　40（臨時増刊特大号）：1133-1137，2019