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文献詳細

雑誌文献

臨床検査66巻10号

2022年10月発行

文献概要

増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか 2章 血球形態

反応性の異型リンパ球と腫瘍性の異常リンパ球

著者: 土屋逹行1

所属機関: 1一般財団法人神奈川県警友会けいゆう病院臨床検査科

ページ範囲:P.1132 - P.1135

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異型リンパ球とは

 血液細胞の分化・成熟の過程において顆粒球などの細胞は,成熟すると機能を果たした後,分裂・増殖することなく消滅してしまう.しかし,リンパ球に関しては,成熟した後に取得した感染症病原体の抗原情報などを生体内に残すことが感染防御のために必要なので,リンパ球の一部は分裂・増殖してそのリンパ球が取得した情報を継代する.特にウイルス感染症などで出現する異型リンパ球(atypical lymphocyte)はウイルスにより刺激を受けて感染源の情報を継代するために幼若化した細胞と考えられている.したがって,古くから異型リンパ球が多数認められていることはウイルス感染症であることの推定・診断に有用であることから末梢血中の異型リンパ球比率が求められてきた.しかし,多様な変化をきたすので異型リンパ球と判断する形態的な基準が必要であり,Downey分類をはじめとするいくつかの分類基準がある.しかし,実際は鑑別に苦慮する細胞があり,日常診療で観察者間による結果の乖離がある.

 日本検査血液学会では2001年より種々の血液検査に関する標準化を目指す作業が行われており,血球形態標準化小委員会ではリンパ球,異型リンパ球の判断基準の標準化作業が行われ,判断基準の標準化案が発表された1)

参考文献

1)土屋逹行,他:細胞分類標準化における異型リンパ球判定とその問題点.日検血会誌 5:77-81,2004
2)土屋逹行:血液形態検査の標準化を目指して.Med Technol 44:777-782,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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