文献詳細
増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか
4章 凝固
—APTT試薬間での測定値の乖離—ループスアンチコアグラント感受性
著者: 徳永尚樹1
所属機関: 1社会医療法人川島会 川島病院 検査室
ページ範囲:P.1212 - P.1215
文献概要
活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)は内因系および共通系の凝固因子活性を評価する検査であり,出血傾向のスクリーニング検査として用いられている.APTTが延長する疾患や病態は多岐にわたり,血友病を代表とする内因系・共通系の凝固因子欠乏や,抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibodies:aPL)症候群,ヘパリンなど抗凝固薬の投与,肝機能低下,播種性血管内凝固症候群などさまざまである.しかしながら,APTTは,その試薬組成の違いにより,病態によっては結果値が大きく異なる場合がある.現在,上市されているAPTT試薬は10種類以上あるため,APTT値の評価には注意が必要である.他院からの紹介時に記載されているAPTT値と自施設で測定したAPTT値が異なる場合もあり,試薬の特性を理解しておかなければ真の病態を見逃してしまう可能性がある.
本稿では,APTTを延長させる要因の1つであるループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant:LA)におけるAPTT試薬間の測定値の乖離と,そこからわかる病態鑑別の方法について述べる.
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