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増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか 4章 凝固
直接経口抗凝固薬(DOAC)使用時の凝固関連検査の乖離(AT活性およびPS活性検査試薬)
著者: 森下英理子12
所属機関: 1金沢大学大学院医薬保健学総合研究科保健学専攻病態検査学講座 2金沢大学附属病院血液内科
ページ範囲:P.1220 - P.1223
文献購入ページに移動直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC)は2011年に初めてわが国に導入され,現在までに4種類が使用可能となっている.DOACは標的因子の違いから直接トロンビン阻害薬(direct thrombin inhibitor:DTI.ダビガトラン)と直接活性型第Ⅹ因子(factor Ⅹa:FⅩa)阻害薬(リバーロキサバン,アピキサバン,エドキサバン)に分類される.DOACの作用機序からもわかるように,本剤は一般的に使用されているグローバルな凝固時間〔プロトロンビン時間(prothrombin time:PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)〕や1),アンチトロンビン(antithrombin:AT)・プロテインC(protein C:PC)・プロテインS(protein S:PS)などの凝固阻止因子活性やループスアンチコアグラントなどの凝固検査に影響を及ぼす2,3).特に血栓症の原因精査の際,すでにDOACを内服している場合は,DOACの種類や測定法によっては凝固阻止因子活性値が偽高値となり,欠乏症の診断を見落とす可能性があるため,十分にその影響について熟知しておく必要がある.
本稿では,特にAT活性とPS活性に及ぼすDOACの影響について自験例を含めて紹介する.
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