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増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか 4章 凝固
—フィブリノゲンの偽低値—フィブリノゲン分子異常
著者: 鈴木敦夫1
所属機関: 1名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門
ページ範囲:P.1240 - P.1243
文献購入ページに移動フィブリノゲン分子異常に起因する“乖離”
フィブリノゲン分子異常は,遺伝子異常に起因する先天性異常症と,産生臓器である肝臓の異常に起因する後天性異常症に区分される.両者とも比較的まれな疾患であるが,前者については約半数が無症候性であり,把握されている患者数以上に潜在的な患者数が一定数存在していると考えられている.しかし,日常検査ではみつかりにくいことも相まって,はっきりとした有病率が把握できていない.
2022年現在,日常検査としてほとんどの施設で採用されているフィブリノゲン検査法はClauss法と呼ばれる測定手法である.本稿では,フィブリノゲンの分子異常がもたらすフィブリノゲン測定における乖離現象を解説する.
フィブリノゲン分子異常は,遺伝子異常に起因する先天性異常症と,産生臓器である肝臓の異常に起因する後天性異常症に区分される.両者とも比較的まれな疾患であるが,前者については約半数が無症候性であり,把握されている患者数以上に潜在的な患者数が一定数存在していると考えられている.しかし,日常検査ではみつかりにくいことも相まって,はっきりとした有病率が把握できていない.
2022年現在,日常検査としてほとんどの施設で採用されているフィブリノゲン検査法はClauss法と呼ばれる測定手法である.本稿では,フィブリノゲンの分子異常がもたらすフィブリノゲン測定における乖離現象を解説する.
参考文献
1)Clauss A:Rapid physiological coagulation method in determination of fibrinogen. Acta Haematol 17:237-246,1957
2)Borgström S:On the prothrombin index in acute affections of Pancreas. Acta Chir Scand 90:419-430,1945
3)Roberts HR, et al:The dysfibrinogenaemias. Br J Haematol 114:249-257,2001
4)鈴木敦夫,他:フィブリノゲン抗原量測定試薬N-アッセイTIA FibのCS-5100用新規アプリケーション設定.日検血会誌 18:54-60,2017
5)永田和寛,他:ファクターオートフィブリノーゲンの基礎性能評価とフィブリノーゲン異常症例における測定値の検討.医学検査 67:7-12,2018
フィブリノーゲン」のCS-5100用新規アプリケーション設定.医学検査 68:519-524,2019
7)Suzuki A, et al:Development and validation of a novel qualitative test for plasma fibrinogen utilizing clot waveform analysis. Sci Rep 12:434,2022
8)Casini A, et al:Diagnosis and classification of congenital fibrinogen disorders: communication from the SSC of the ISTH. J Thromb Haemost 16:1887-1890,2018
9)Suzuki A, et al:Clot waveform analysis in Clauss fibrinogen assay contributes to classification of fibrinogen disorders. Thromb Res 174:98-103,2019
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