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増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか 4章 凝固
—FDPやDダイマーの上昇—腹水・胸水由来
著者: 窓岩清治1
所属機関: 1東京都済生会中央病院臨床検査医学科
ページ範囲:P.1248 - P.1251
文献購入ページに移動はじめに
腹水や胸水貯留は,さまざまな疾患によって体腔内に生理的な量を超えて体液が貯留した病態である.腹水や胸水貯留は患者の循環器・呼吸器系に大きな負荷を及ぼすことがあるため,穿刺などによる迅速な診断と適切な治療が求められる.一方で,体液の貯留をきたす患者では,凝固線維素溶解(以下,凝固線溶)系の活性化の指標であるフィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation products:FDP)やDダイマーの増加を示すことがある.腹水や胸水貯留の貯留をきたす基礎疾患は,同時に凝固線溶系の活性化を伴うような病態であることも多く,FDPやDダイマーの上昇のみから患者の凝固線溶病態を正確に把握することは容易ではない.
本稿では,腹水および胸水貯留に伴う血液凝固線溶系の病態とともに,FDPやDダイマーの生成機序と解釈について概説する.
腹水や胸水貯留は,さまざまな疾患によって体腔内に生理的な量を超えて体液が貯留した病態である.腹水や胸水貯留は患者の循環器・呼吸器系に大きな負荷を及ぼすことがあるため,穿刺などによる迅速な診断と適切な治療が求められる.一方で,体液の貯留をきたす患者では,凝固線維素溶解(以下,凝固線溶)系の活性化の指標であるフィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation products:FDP)やDダイマーの増加を示すことがある.腹水や胸水貯留の貯留をきたす基礎疾患は,同時に凝固線溶系の活性化を伴うような病態であることも多く,FDPやDダイマーの上昇のみから患者の凝固線溶病態を正確に把握することは容易ではない.
本稿では,腹水および胸水貯留に伴う血液凝固線溶系の病態とともに,FDPやDダイマーの生成機序と解釈について概説する.
参考文献
1)医学書院:今日の診療プレミアムVol.32 DVD-ROM for Windows,2022(https://www.igaku-shoin.co.jp/digital/detail/111926)(最終アクセス:2022年7月25日)
2)Light RW:Clinical practice. Pleural effusion. N Engl J Med 346:1971-1977,2002
3)Edy CS, et al:GCW Hemostatic challenges in liver disease. In: Hemostasis and Thrombosis: Basic Principles and Clinical Practice, 6th ed (Marder VJ, et al, eds), Wolters Kluwer, pp1481-1490, 2013
4)Thaler J, et al:Intraperitoneal Activation of Coagulation and Fibrinolysis in Patients with Cirrhosis and Ascites. Thromb Haemost 122:353-362,2022
5)日本血栓止血学会DIC診断基準作成委員会:日本血栓止血学会 DIC診断基準 2017年版.日血栓止血会誌 28:369-391,2017(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsth/28/3/28_2017_JJTH_28_3_369-392/_pdf)(最終アクセス:2022年7月25日)
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