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増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか 4章 凝固
—FDPやDダイマーの上昇—IgA由来の非特異反応
著者: 勢井伸幸1
所属機関: 1徳島赤十字病院検査部
ページ範囲:P.1252 - P.1255
文献購入ページに移動フィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation product:FDP)やDD構造を有するフィブリン分解産物であるDダイマーなど,抗原抗体反応を測定原理とする免疫学的測定法は,測定系に用いる抗体により反応性が異なることを十分に理解しておく必要がある.測定値が非特異反応を起こす原因は種々あるが,桜井1)の調べによると,“Dダイマー測定系”異常反応の原因である免疫グロブリン(immunoglobulin:Ig)クラスは,吸収試験により異常反応の原因抗体がわかった件に関し,1996〜2003年の統計(全133ケース)において,検体Ig由来異常反応97件,直線性不良・FDP値とのバランス不良29件,その他の異常反応7件であった.検体Ig由来異常反応の内訳はIgG,IgA,IgMおのおの5,14,78件で百分率比はIgG:IgA:IgM=5:15:80であったとしている.
Dダイマーの測定原理は,検体と抗Dダイマーモノクーロナル(マウス)感作ラテックスを混合すると,検体中の濁度が増加する.その濁度変化量を波長600〜800nmで測定する.また,同様に操作して得られた標準液の濁度変化量と比較することによって検体中のDダイマー濃度を求める2).Dダイマー測定において偽高値となる原因としては採血手技,試薬による非特異反応などが考えられる.そのなかで一番影響を与えるのは採血手技によるものであり,駆血帯の締めすぎや長時間駆血帯を巻くことによる採血管内での凝固線溶反応の亢進である.
筆者は,患者血漿中のIgAがDダイマー測定用試薬(リアスオートTM・Dダイマーネオ.シスメックス社)と非特異反応を起こし偽高値となったと考えられた症例を経験したので,その原因,対策法などを症例提示しながら解説する.
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