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増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか 4章 凝固
—FDPやDダイマーの上昇—血管免疫芽球性リンパ腫の非特異反応
著者: 徳竹孝好1
所属機関: 1長野赤十字病院輸血部
ページ範囲:P.1256 - P.1259
文献購入ページに移動血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(angioimmunoblastic T-cell lymphoma:AITL)は非Hodgkinリンパ腫の1.2〜2.5%に認められ,全身のリンパ節腫脹,肝脾腫,発熱,皮疹,自己免疫性溶血性貧血,高γグロブリン血症などを症状とする1).増加するγグロブリンは,B細胞性腫瘍の単クローン性と異なり多クローン性である.
一方,血液腫瘍性の高γグロブリン血症では,しばしば抗原抗体反応を原理とする検査項目において非特異反応を示すことが報告されている2,3).フィブリン/フィブリノーゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation product:FDP)とDダイマー(D-dimer:D-D)測定においても抗原抗体反応が用いられているため,非特異反応の報告がみられる4〜6).これらの報告はモノクローナル蛋白(以下,M蛋白)を有するB細胞性腫瘍の症例が中心であり4,5),T細胞性腫瘍での報告は筆者らが報告したAITLの1例にとどまる6).
今回,本症例のデータの見直しを行い,当初は増加した免疫グロブリン(immunoglobulin:Ig)Mが非特異反応の主要因と考えていた推測に,IgGの影響も加味される解析結果を得た.本稿では,希釈法やその他の原因究明法も含め,非特異反応の発見の経緯,対処法を述べる.
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