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文献詳細

雑誌文献

臨床検査66巻10号

2022年10月発行

文献概要

増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか 4章 凝固

組織液中の組織因子(TF)の混入による凝固時間を用いた検査への影響

著者: 松本智子1 下村大樹2

所属機関: 1天理医療大学医療学部臨床検査学科 2公益財団法人天理よろづ相談所病院臨床検査部

ページ範囲:P.1264 - P.1266

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はじめに

 生体内における凝固の引き金は血管壁が損傷し,血液が組織液中の組織因子(tissue factor:TF)と混ざることである.TFは血液が直接接する血管内皮や心内膜や赤血球には存在せず,血管外膜,心筋,表皮,大脳皮質,消化管粘膜などに存在する1).一方,TFが混入した血液検体では凝固検査に大きく影響する.これは診断や治療が変わってしまうため,検査結果の解釈に注意すべきである.

 本稿では,TF混入の影響について凝固時間を測定する検査を中心に概説する.

参考文献

1)斎藤英彦:止血機構と血栓症 オーバービュー.図説 血栓・止血・血管学 血栓症制圧のために(一瀬白帝編),中外医学社,pp1-6,2005
2)松澤真由美,他:耳朶採血,指先採血.JAMT技術教本シリーズ 検体採取者のためのハンドブック(日本臨床衛生検査技師会監),じほう,pp122-127,2016
3)池田千秋:自動凝固測定装置.JAMT技術教本シリーズ 血液検査技術教本(日本臨床衛生検査技師会監),丸善出版,pp256-258,2015
4)山崎哲:凝固検査.スタンダード検査血液学(日本検査血液学会編),医歯薬出版,pp173-176,2021
5)小宮山豊:臨床検査室から臨床へ(データとともに情報を).日血栓止血会誌 19:474-477,2008
6)標準採血法ガイドライン Q&A,日本臨床検査標準協議会,pp37-38,2011
7)岡嶋研二:凝固と炎症.図説 血栓・止血・血管学 血栓症制圧のために(一瀬白帝編),中外医学社,pp377-384,2005
8)Nogami K, et al:Modified clot waveform analysis to measure plasma coagulation potential in the presence of the anti-factor IXa/factor X bispecific antibody emicizumab. J Thromb Haemost 16:1078-1088,2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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