臨床検査67巻1号

2023年01月発行

今月の特集1 臨床生理学のための解剖・生理

神経生理検査に必要な解剖・生理

著者： 湯本真人¹

所属機関： ¹群馬パース大学医療技術学部臨床工学科

ページ範囲：P.20 - P.27

Point

●末梢神経幹の経皮電気刺激による興奮は双方向性に伝導し，大径有髄線維（運動，固有感覚・触圧覚・振動覚）の興奮および，それに伴う応答が電位記録される．

●半視野刺激による視覚誘発電位では，半球間裂近傍の電源の向きによりparadoxical lateralizationがみられるが，電源自体は刺激側対側に局在する．

●聴覚は体性感覚・視覚と異なり（対側優位であるが）両側性に投射する．体性感覚・視覚の空間表象に相当する方向感は皮質下伝導路（上オリーブ核）で生成される．

参考文献

1）児玉南海雄，峯浦一喜（監），新井一，冨永悌二，宮本享，他（編）：標準脳神経外科学　第14版，医学書院，2017

2）Rasmussen T, Penfield W：Further studies of the sensory and motor cerebral cortex of man. Fed Proc　6：452-460，1947

3）Mountcastle VB：The columnar organization of the neocortex. Brain　120（Pt 4）：701-722，1997

4）ポールA．ヤング，ポールH．ヤング，ダニエルL．トルバート（著），村上徹，櫻井武，松崎利行（訳）：臨床のための脳と神経の解剖学，メディカルサイエンス・インターナショナル，2019

5）Masland RH：The neuronal organization of the retina. Neuron　76：266-280，2012

6）Hubel DH, Wiesel TN：Brain mechanisms of vision. Sci Am　241：150-162，1979

7）後藤純信，飛松省三：視覚誘発電位（VEP）：基礎．臨神生　36：257-266，2008

8）加我君孝：方向感検査の臨床応用．耳鼻臨床　92：1263-1279，1999

1）日本臨床神経生理学会（編）：誘発電位測定マニュアル2019，診断と治療社，2019

2）園生雅弘，馬場正之（編）：神経筋電気診断の実際，星和書店，2004

3）後藤文男，天野隆弘（編）：臨床のための神経機能解剖学，中外医学社，1992