文献詳細
文献概要
今月の特集 腫瘍随伴症候群 免疫学的機序によるもの
傍腫瘍性ネフローゼ症候群
著者: 榛沢理1
所属機関: 1秀和総合病院呼吸器内科
ページ範囲:P.1291 - P.1295
文献購入ページに移動Point
●腫瘍抗原への免疫応答から生じる二次性糸球体疾患があり,腎病理は膜性腎症や微小変化群を呈しやすく,いずれも臨床的には尿中への大量のタンパク漏出を特徴とするネフローゼ症候群を呈することが多い.
●膜性腎症と癌との関連に関する知見が多く報告されており,日本人では膜性腎症における悪性腫瘍の合併は1.2%にみられ,合併する腫瘍は消化器癌が多く,肺癌がそれに次ぐ.
●ネフローゼ症候群の原因検索として腎生検が重要で,膜性腎症の場合には免疫グロブリンG(IgG)サブクラスの免疫染色で一次性あるいは二次性膜性腎症の推測がある程度可能である.
●傍腫瘍性ネフローゼ症候群は,悪性腫瘍の治療により改善する例もあるが,侵襲性の高い治療を行ううえで,ネフローゼ症候群に対する管理も十分に行う必要がある.
●腫瘍抗原への免疫応答から生じる二次性糸球体疾患があり,腎病理は膜性腎症や微小変化群を呈しやすく,いずれも臨床的には尿中への大量のタンパク漏出を特徴とするネフローゼ症候群を呈することが多い.
●膜性腎症と癌との関連に関する知見が多く報告されており,日本人では膜性腎症における悪性腫瘍の合併は1.2%にみられ,合併する腫瘍は消化器癌が多く,肺癌がそれに次ぐ.
●ネフローゼ症候群の原因検索として腎生検が重要で,膜性腎症の場合には免疫グロブリンG(IgG)サブクラスの免疫染色で一次性あるいは二次性膜性腎症の推測がある程度可能である.
●傍腫瘍性ネフローゼ症候群は,悪性腫瘍の治療により改善する例もあるが,侵襲性の高い治療を行ううえで,ネフローゼ症候群に対する管理も十分に行う必要がある.
参考文献
1)Leeaphorn N, Kue-A-Pai P, Thamcharoen N, et al:Prevalence of cancer in membranous nephropathy: a systematic review and meta-analysis of observational studies. Am J Nephrol 40:29-35,2014
2)成田一衛(監),厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)「難治性腎障害に関する調査研究」班(編):エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2020,東京医学社,2020
3)松尾清一(監),厚生労働省難治性疾患克服研究事業進行性腎障害に関する調査研究班難治性ネフローゼ症候群分科会(編):ネフローゼ症候群診療指針[完全版],東京医学社,2012
4)Beck LH Jr, Bonegio RG, Lambeau G, et al:M-type phospholipase A2 receptor as target antigen in idiopathic membranous nephropathy. N Engl J Med 361:11-21,2009
5)Tomas NM, Beck LH Jr, Meyer-Schwesinger C, et al:Thrombospondin type-1 domain-containing 7A in idiopathic membranous nephropathy. N Engl J Med 371:2277-2287,2014
6)Iwakura T, Ohashi N, Kato A, et al:Prevalence of Enhanced Granular Expression of Thrombospondin Type-1 Domain-Containing 7A in the Glomeruli of Japanese Patients with Idiopathic Membranous Nephropathy. PLoS One 10:e0138841,2015
7)榛沢理,立石知也,小林正嗣,他:傍腫瘍性ネフローゼ症候群を合併し化学療法に続き手術を施行しえた悪性胸膜中皮腫の1例.肺癌 56:342-348,2016
掲載誌情報